学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §9 神経系 / QJ27A057

理由で解く 柔道整復師

QJ27A057 解剖学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問57
問題
神経支配で正しいのはどれか。
選択肢
1 浅胸筋は胸神経前枝に支配される。
2 側腹筋は腰神経叢の枝に支配される。
3 横隔膜は頸神経叢の枝に支配される。
4 深背筋第1層は脊髄神経後枝に支配される。
解答
正解3(横隔膜は頸神経叢の枝に支配される。)
解説

正しいのは3です。横隔膜は頸神経叢から出る横隔神経(C3〜C5、主にC4)に支配されます。

筋の神経支配は「どの神経叢の枝が届くか」を発生の由来と結びつけると納得して覚えられます。横隔膜はもともと頸部(第4頸節あたり)で生じた筋が胸腹の境界まで下降してできたもので、そのため支配神経も頸神経叢の枝である横隔神経が長く伸びて届きます。運動は全域を横隔神経が支配し、知覚は中央部(腱中心付近)を横隔神経が、周辺部(筋性部の辺縁)を下位肋間神経が担う、という書き分けも押さえておきます。一方、胸郭に付いていても、浅胸筋(大胸筋・小胸筋・鎖骨下筋・前鋸筋)は上肢を動かす筋の仲間として腕神経叢の枝(内側・外側胸筋神経、鎖骨下筋神経、長胸神経)に支配され、胸神経前枝=肋間神経が支配するのは肋間筋などの深胸筋(固有胸筋)です。側腹筋(外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋)は下位肋間神経が主で、下部には腸骨下腹神経・腸骨鼠径神経が加わります。背筋は、浅層のうち僧帽筋が副神経(第XI脳神経)と頸神経叢(C2〜C4前枝)、広背筋が胸背神経(腕神経叢)に支配され、固有背筋(深背筋)が脊髄神経後枝に支配される、という原則で整理します。

✗ 1. 誤り
浅胸筋は胸神経前枝に支配される。
浅胸筋(大胸筋・小胸筋・鎖骨下筋・前鋸筋)は上肢帯に働く筋で、支配は腕神経叢の枝(内側・外側胸筋神経、鎖骨下筋神経、長胸神経)です。胸神経前枝(肋間神経)が支配するのは肋間筋などの深胸筋(固有胸筋)です。「浅胸筋=上肢の筋=腕神経叢」と結びつけます。
✗ 2. 誤り
側腹筋は腰神経叢の枝に支配される。
側腹筋(外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋)の主たる支配は下位肋間神経=胸神経前枝で、下部にはさらに腰神経叢由来の腸骨下腹神経・腸骨鼠径神経が加わります。単一の神経叢の枝だけで言い切れる筋ではなく、この肢は正しい記述にはなりません。
✓ 3. 正しい
横隔膜は頸神経叢の枝に支配される。
横隔神経(C3〜C5、主にC4)は頸神経叢から起こり、前斜角筋の前面を下って胸腔内を下行し、横隔膜に達します。頸髄高位の損傷で呼吸が障害される理由もここにあります。「C3・4・5が横隔膜を生かす」と語呂で押さえておくと確実です。
✗ 4. 誤り
深背筋第1層は脊髄神経後枝に支配される。
体表から数えた背筋の第1層は僧帽筋と広背筋で、その支配は僧帽筋が副神経(第XI脳神経)と頸神経叢(C2〜C4前枝)、広背筋が胸背神経(腕神経叢)です。いずれも脊髄神経後枝の支配ではないため、この肢は誤りです。なお固有背筋(深背筋)そのものは脊髄神経後枝支配が原則で、「第1層」がどの層立てを指すかで意味が変わりうる点は、用語を読むうえでの注意点として押さえておきます。
ポイント
  • 横隔膜=横隔神経(C3〜C5、頸神経叢)。運動は全域を横隔神経が支配。知覚は中央部(腱中心付近)が横隔神経、周辺部が下位肋間神経。
  • 浅胸筋(大胸筋・小胸筋・鎖骨下筋・前鋸筋)=腕神経叢の枝。
  • 深胸筋(肋間筋など)=肋間神経(胸神経前枝)
  • 側腹筋=下位肋間神経が主体。下部に腸骨下腹神経・腸骨鼠径神経が加わる。
  • 固有背筋(深背筋)=脊髄神経後枝。これに対し僧帽筋=副神経(第XI脳神経)+頸神経叢(C2〜C4前枝)、広背筋=胸背神経(腕神経叢)で、いずれも後枝支配ではない。
比較表
支配神経由来
浅胸筋(大胸筋・小胸筋・鎖骨下筋・前鋸筋)内側/外側胸筋神経、鎖骨下筋神経、長胸神経腕神経叢
深胸筋(肋間筋など)肋間神経胸神経前枝
側腹筋(外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋)下位肋間神経(+腸骨下腹神経・腸骨鼠径神経)胸神経前枝(+腰神経叢)
横隔膜横隔神経(C3〜C5)/知覚の周辺部のみ下位肋間神経頸神経叢(+胸神経前枝)
僧帽筋副神経+頸神経叢(C2〜C4前枝)脳神経(XI)+頸神経叢
広背筋胸背神経腕神経叢
固有背筋(深背筋)脊髄神経後枝後枝
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