学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §2 運動器系 / QJ27A047

理由で解く 柔道整復師

QJ27A047 解剖学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問47
問題
横隔膜の食道裂孔を通過するのはどれか。
選択肢
1 胸管
2 横隔神経
3 迷走神経
4 交感神経幹
解答
正解3(迷走神経)
解説

食道裂孔を通るのは食道と迷走神経(前・後迷走神経幹)です。横隔膜の3つの通り道は高さとセットで覚えます。

横隔膜の大きな通り道は3つで、椎体の高さで整理できます。大静脈孔は第8胸椎の高さで腱中心にあり、下大静脈と右横隔神経の枝が通ります。腱中心は伸び縮みしないため、吸気で横隔膜が下がると孔が広がり静脈還流が助けられます。食道裂孔は第9〜10胸椎の高さで、主に左右の横隔膜脚の筋線維に囲まれ、食道・前後の迷走神経幹・左胃動静脈の食道枝が通ります。筋に囲まれているので吸気時にはむしろ締まり、これが逆流を防ぐ「下部食道括約機構」の一部になります。大動脈裂孔は第12胸椎の高さで、正中弓状靱帯の後方の筋のない隙間を下行大動脈・胸管・奇静脈が通ります。筋に囲まれていないため、横隔膜が収縮しても大動脈は圧迫されません。「8で大静脈、10で食道、12で大動脈」と数字で覚えるのが定番です。

✓ 3. 正しい
迷走神経
迷走神経は胸腔内で食道の周囲に食道神経叢をつくりながら下行し、前迷走神経幹(主に左迷走神経由来)と後迷走神経幹(主に右迷走神経由来)となって、食道とともに食道裂孔を通り腹腔へ入ります。その後、胃・小腸・横行結腸中央あたりまでの副交感性支配を担います。
✗ 1. 誤り
胸管
胸管は大動脈裂孔を、大動脈の右後方に沿って通ります。腹部の乳び槽から始まり、胸腔を上行して左静脈角に注ぎます。
✗ 2. 誤り
横隔神経
頸神経叢(C3〜C5)から起こる横隔膜の運動神経で、右は大静脈孔を通り、左は横隔膜の筋部を直接貫いて下面に達します。食道裂孔は通りません。
✗ 4. 誤り
交感神経幹
交感神経幹は内側弓状靱帯の後方を通って(あるいは横隔膜脚を貫いて)胸腔から腹腔へ移行します。3つの大きな裂孔は通りません。
ポイント
  • 食道裂孔(T10)=食道+前・後迷走神経幹+左胃動静脈の食道枝
  • 大静脈孔(T8)=下大静脈+右横隔神経の枝。腱中心にあり吸気で広がる
  • 大動脈裂孔(T12)=下行大動脈+胸管+奇静脈。筋に囲まれず圧迫されない
  • 覚え方=「8・10・12」で大静脈孔・食道裂孔・大動脈裂孔
  • 横隔神経はC3〜C5由来で横隔膜を支配。交感神経幹は内側弓状靱帯の後方を通る
比較表
通り道高さ通過するもの周囲の構造
大静脈孔第8胸椎下大静脈、右横隔神経の枝腱中心(吸気で開く)
食道裂孔第9〜10胸椎食道、前・後迷走神経幹、左胃動静脈の食道枝横隔膜脚の筋線維(吸気で締まる)
大動脈裂孔第12胸椎下行大動脈、胸管、奇静脈正中弓状靱帯の後方(筋がない)
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