学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §3 脈管系(循環器系) / QJ27A041

理由で解く 柔道整復師

QJ27A041 解剖学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問41
問題
トルコ鞍を取り囲んでいるのはどれか。
選択肢
1 横静脈洞
2 海綿静脈洞
3 S状静脈洞
4 直静脈洞
解答
正解2(海綿静脈洞)
解説

トルコ鞍(下垂体窩)を左右から挟み、前後の海綿間静脈洞でつながって下垂体を輪状に取り囲むのは海綿静脈洞です。したがって正解は2です。

硬膜静脈洞は、硬膜の2葉が離れてできた隙間を血液が流れる特殊な静脈路で、それぞれ骨や硬膜ヒダの決まった場所に沿って走ります。海綿静脈洞は蝶形骨体の両側、すなわちトルコ鞍のすぐ左右にあり、内部に多数の線維柱が張って海綿状に見えることからこの名がつきました。洞の中を内頸動脈と外転神経が貫き、外側壁には上から動眼神経・滑車神経・眼神経(三叉神経第1枝)・上顎神経(第2枝)が並びます。左右の海綿静脈洞は下垂体の前方と後方で海綿間静脈洞によって連絡するため、全体として下垂体を取り巻く輪をつくります。また眼静脈を介して顔面の静脈とも交通するので、顔面の感染が頭蓋内へ及ぶ経路としても重要です。したがって、他の静脈洞との識別は「どの骨・どの硬膜ヒダに沿うか」で判断します。

✓ 2. 正しい
海綿静脈洞
蝶形骨体の両側、トルコ鞍を左右から挟む位置にある硬膜静脈洞です。左右が前後の海綿間静脈洞でつながることで下垂体を環状に囲みます。血液は上錐体静脈洞を経て横静脈洞・S状静脈洞へ、また下錐体静脈洞を経て内頸静脈へ流れます。内頸動脈と外転神経が洞内を通り、外側壁を動眼神経・滑車神経・眼神経・上顎神経が走るという位置関係もあわせて覚えましょう。
✗ 1. 誤り
横静脈洞
後頭骨内面の横溝を走り、小脳テントの後外側縁に沿って左右へ水平に伸びる静脈洞です。後頭部の静脈洞交会から始まり、外側へ進んでS状静脈洞に続きます。位置は頭蓋の後方であり、前方中央のトルコ鞍からは大きく離れています。
✗ 3. 誤り
S状静脈洞
横静脈洞の続きで、側頭骨錐体部の後面から後頭骨にかけてのS状溝をS字状に曲がりながら下行し、頸静脈孔を通って内頸静脈となります。頭蓋底の後外側を走る経路で、トルコ鞍を囲む位置にはありません。「頭蓋内の静脈血の最終出口」として押さえます。
✗ 4. 誤り
直静脈洞
大脳鎌と小脳テントが接合する正中の線上にあり、前方から下矢状静脈洞と大大脳静脈(ガレン大静脈)を受けて後方へ走り、静脈洞交会に注ぎます。脳の深部からの血液を集める正中後方の経路で、トルコ鞍とは前後に離れています。
ポイント
  • 海綿静脈洞は蝶形骨体の両側(トルコ鞍の左右)にあり、前後の海綿間静脈洞で左右が連絡して下垂体を輪状に囲む。
  • 海綿静脈洞の内部を通るのは内頸動脈と外転神経。外側壁を上から動眼神経・滑車神経・眼神経・上顎神経が走る。
  • 海綿静脈洞の流出路は上錐体静脈洞(→横静脈洞・S状静脈洞)と下錐体静脈洞(→内頸静脈)。眼静脈を介して顔面の静脈とも交通するため、顔面(いわゆる危険三角)の感染が頭蓋内へ波及しうる。
  • 上矢状静脈洞・直静脈洞は静脈洞交会へ集まり、横静脈洞→S状静脈洞→頸静脈孔→内頸静脈と流れる。
  • 静脈洞は「沿う骨・沿う硬膜ヒダ」で位置を覚える。大脳鎌の上縁=上矢状静脈洞、下縁=下矢状静脈洞、大脳鎌と小脳テントの接合部=直静脈洞。
比較表
硬膜静脈洞位置(沿う骨・硬膜ヒダ)流出先
海綿静脈洞蝶形骨体の両側=トルコ鞍を挟む。前後の海綿間静脈洞で左右が連絡上錐体静脈洞・下錐体静脈洞
上矢状静脈洞大脳鎌の上縁(正中の頭蓋冠内面)静脈洞交会
下矢状静脈洞大脳鎌の下縁直静脈洞
直静脈洞大脳鎌と小脳テントの接合部(正中後方)静脈洞交会
横静脈洞後頭骨の横溝、小脳テントの後外側縁S状静脈洞
S状静脈洞側頭骨錐体部後面〜後頭骨のS状溝頸静脈孔を経て内頸静脈
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。