学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §3 脈管系(循環器系) / QJ27A039

理由で解く 柔道整復師

QJ27A039 解剖学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問39
問題
心臓で正しいのはどれか。
選択肢
1 卵円窩は心房中隔にある。
2 心尖は第2肋間隙に位置する。
3 冠状動脈は大動脈弓から分枝する。
4 大動脈弁には腱索が付着している。
解答
正解1(卵円窩は心房中隔にある。)
解説

卵円窩は、胎児期に右心房と左心房をつないでいた卵円孔が出生後に閉じた痕跡で、心房中隔の右心房側にある浅いくぼみです。したがって正解は1です。

胎児は肺で呼吸をしないため、肺循環へ多くの血液を送る必要がありません。そこで肺を迂回する近道が2つ用意されています。1つは卵円孔で、下大静脈から右心房に戻った酸素の多い血液は、心房中隔にあいた卵円孔を通って直接左心房へ抜けます。もう1つは動脈管で、上大静脈から右心房に戻った血液は右心室・肺動脈幹へ進み、その大半が動脈管を通って下行大動脈へ流れます。出生して肺呼吸が始まると肺血管抵抗が下がり、肺静脈から左心房へ戻る血液が増えて左心房圧が上昇します。すると卵円孔をふさぐ弁(一次中隔)が二次中隔側へ押しつけられて閉鎖し、やがて癒合して卵円窩となります。動脈管も収縮して閉じ、動脈管索という索状の痕跡を残します。つまり卵円窩=卵円孔の痕跡、動脈管索=動脈管の痕跡という対応であり、卵円窩は「心房と心房を隔てる壁」にしか生じ得ない構造で、心房中隔以外の場所に求めることはできません。この問題は、心臓の位置(心尖・心底)、栄養血管の起始、弁の構造という3つの基本を同時に確認する構成になっています。

✓ 1. 正しい
卵円窩は心房中隔にある。
右心房の内側から心房中隔を見ると、下部に楕円形の浅いくぼみがあり、これが卵円窩です。周囲のやや盛り上がった縁を卵円窩縁といいます。胎児期の卵円孔が閉鎖した跡なので、必ず左右の心房を隔てる心房中隔上に位置します。閉鎖が不完全に残ったものが卵円孔開存です。
✗ 2. 誤り
心尖は第2肋間隙に位置する。
心尖は左第5肋間で、鎖骨中線のやや内側(正中線から左へおよそ8〜9cm)にあり、ここで心尖拍動を触れます。心尖の反対側にあたる心底は上後方を向き、およそ第2〜第3肋軟骨の高さで大動脈・肺動脈などの大血管が出入りします。なお聴診では第2肋間胸骨右縁を大動脈弁領域、第2肋間胸骨左縁を肺動脈弁領域としますが、これらは弁そのものの位置ではなく、音が伝わりやすい体表の位置である点に注意してください(大動脈弁自体は第3肋間胸骨左縁付近にあります)。「心尖は下方で左第5肋間、心底は上後方で大血管の出入り口」と上下をセットで覚えると取り違えずにすみます。
✗ 3. 誤り
冠状動脈は大動脈弓から分枝する。
左右の冠状動脈は、上行大動脈の起始部にある大動脈洞(バルサルバ洞)、つまり大動脈弁のすぐ上から出ます。全身へ向かう血管のなかで最初に分かれる枝であり、この位置から出ることで、拡張期に閉じた大動脈弁の上で血液がとどまるあいだに心筋へ流れ込むことができます。一方、大動脈弓から出るのは腕頭動脈・左総頸動脈・左鎖骨下動脈の3本です。「冠状動脈は上行大動脈、3本の枝は大動脈弓」と起始部で区別しましょう。
✗ 4. 誤り
大動脈弁には腱索が付着している。
腱索が付くのは房室弁、すなわち右の三尖弁と左の僧帽弁(二尖弁)の弁尖で、反対端は心室壁の乳頭筋につながります。心室収縮時に乳頭筋が縮んで腱索を引くことで、弁が心房側へめくれ返るのを防いでいます。これに対し大動脈弁と肺動脈弁は3枚のポケット状の半月弁からなり、腱索も乳頭筋も持ちません。逆流しようとする血液そのものがポケットに入り込んで弁を閉じるため、支える装置が不要なのです。「腱索・乳頭筋は房室弁だけ」と押さえてください。
ポイント
  • 卵円窩=心房中隔(右心房側)の浅いくぼみ。胎児期の卵円孔が閉じた痕跡で、縁を卵円窩縁という。
  • 胎児が肺を迂回する経路は2つ。卵円孔(下大静脈→右心房→左心房)と動脈管(上大静脈→右心室→肺動脈幹→下行大動脈)。出生後の痕跡はそれぞれ卵円窩と動脈管索。
  • 心尖は左第5肋間・鎖骨中線のやや内側(心尖拍動の触知点)。心底は上後方を向き、およそ第2〜第3肋軟骨の高さが大血管の出入り口。
  • 弁の聴診部位(第2肋間胸骨右縁=大動脈弁領域、同左縁=肺動脈弁領域)は音が伝わりやすい体表の位置であって、弁そのものの解剖学的位置ではない(大動脈弁は第3肋間胸骨左縁付近)。
  • 冠状動脈は上行大動脈起始部の大動脈洞から左右1本ずつ出る。大動脈弓の枝は腕頭動脈・左総頸動脈・左鎖骨下動脈の3本。
  • 腱索と乳頭筋をもつのは房室弁(三尖弁・僧帽弁)のみ。半月弁(大動脈弁・肺動脈弁)にはない。
  • 心臓の弁は4つ。房室弁2つ+動脈弁(半月弁)2つ、と対で整理する。
比較表
比較項目房室弁(三尖弁・僧帽弁)動脈弁(大動脈弁・肺動脈弁)
位置心房と心室の境(房室口)心室と大動脈・肺動脈の境
弁尖の数三尖弁は3枚、僧帽弁は2枚いずれも3枚の半月弁
腱索・乳頭筋あり(弁尖—腱索—乳頭筋がつながる)なし
閉じる仕組み心室収縮で閉じ、乳頭筋が引いて反転を防ぐ逆流する血液がポケットに入り込んで閉じる
閉じる時期心室収縮期心室拡張期
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