学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §21 肘内障の診察および整復 / QJ27A030

理由で解く 柔道整復師

QJ27A030 必修問題

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問30
問題
肘内障で正しいのはどれか。
選択肢
1 腕尺関節の亜脱臼である。
2 肘関節に運動痛がある。
3 患部の腫脹が著しい。
4 整復後は副子固定が必要である。
解答
正解2(肘関節に運動痛がある。)
解説

肘内障は幼小児の腕橈関節の亜脱臼(橈骨頭が輪状靱帯から逸脱し、靱帯の一部が関節内に嵌入した状態)である。患肢を動かそうとしなくなり、他動的に動かすと痛がる(運動痛あり)が、腫脹や皮下出血はほとんど見られない。

好発はおおむね1〜4歳で、手を強く引っ張られた直後に生じることが多い。この年齢では橈骨頭がまだ小さく輪状靱帯から抜けやすいため、前腕回内位で長軸方向に牽引されると輪状靱帯が橈骨頭を滑り越えて挟まり込む。肘関節を構成する腕尺関節・腕橈関節・近位橈尺関節のうち、亜脱臼するのは腕橈関節である点をまず押さえたい。受傷後は患肢を体側に下垂し、前腕回内・肘軽度屈曲位のまま自分では動かさない(偽性麻痺)。他動運動、とくに回外させようとすると痛がるのが特徴である。腫脹・熱感・変形・皮下出血はほとんど認めず、これらが目立つ場合は骨折など別の外傷を考えて医師の診察につなぐ。整復は回外法や回内法で行い、整復時にクリックを触知し、直後から上肢を自由に使えるようになるのが確認点である。

✗ 1. 誤り
腕尺関節の亜脱臼である。
障害されるのは腕尺関節ではなく腕橈関節である。橈骨頭が輪状靱帯から逸脱し、靱帯の一部が関節内に嵌入した状態であって、腕尺関節(上腕骨滑車と尺骨滑車切痕)の亜脱臼ではない。なお輪状靱帯は近位橈尺関節を構成する靱帯だが、亜脱臼する関節として答えるべきは腕橈関節である。
✓ 2. 正しい
肘関節に運動痛がある。
安静にしていれば泣きやむことも多いが、他動的に肘を動かす、とくに前腕を回外させようとすると痛がる。自分では動かさない(偽性麻痺)のは痛みを避けているためで、運動痛があるという記述は正しい。
✗ 3. 誤り
患部の腫脹が著しい。
肘内障では腫脹・熱感・皮下出血・変形はほとんど認めない。著明な腫脹があるときは上腕骨顆上骨折や外側顆骨折などを疑い、医師の診察を受けるよう手配する。
✗ 4. 誤り
整復後は副子固定が必要である。
整復されれば疼痛は速やかに消え、上肢を挙上して自由に使えるようになるため、原則として副子固定は行わない。整復後は腕を挙げられるかを確認し、再発しやすいので手を強く引かないよう保護者へ説明する。反復例では三角巾などで短期間の安静を図ることもある。
ポイント
  • 好発は1〜4歳の幼小児、受傷機転は手を引っ張られる(牽引)
  • 病態は腕橈関節の亜脱臼=橈骨頭が輪状靱帯から逸脱し、靱帯の一部が嵌入した状態。腕尺関節ではない
  • 症状は患肢下垂・前腕回内・肘軽度屈曲位で自動運動をしない(偽性麻痺)、他動での運動痛あり
  • 腫脹・皮下出血・変形はほとんどない。あるときは骨折を疑い医師へつなぐ。
  • 整復は回外法/回内法。クリックを触知し、整復後は挙上できるかを確認、固定は原則不要。
  • 再発しやすいため、手を強く引かない・引き上げない指導を保護者に行う。
比較表
比較項目肘内障肘周辺の骨折(上腕骨顆上骨折など)
好発年齢1〜4歳の幼小児幼児〜学童
受傷機転手を引っ張られる(牽引)転倒・転落などの強い外力
障害部位腕橈関節(橈骨頭が輪状靱帯から亜脱臼)上腕骨顆上部・外側顆などの骨部
腫脹・皮下出血ほとんどない著明
変形認めない認めることが多い
肢位患肢下垂・前腕回内位で動かさない疼痛が強く動かせない
整復後直後から使える。原則固定不要固定と医師による管理が必要
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