学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §21 肘内障の診察および整復 / QJ26A026

理由で解く 柔道整復師

QJ26A026 必修問題

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問26
問題
肘内障で正しいのはどれか。
選択肢
1 肘関節屈曲位で手を強く引かれて発生する。
2 患肢前腕は回内位をとる。
3 上肢自動運動制限はみられない。
4 整復後は肘関節軽度屈曲位で固定する。
解答
正解2(患肢前腕は回内位をとる。)
解説

肘内障は幼小児が肘伸展・前腕回内位で手を引かれて起こり、患肢は肘軽度屈曲・前腕回内位で下垂する。正答は2。

幼小児の橈骨頭はまだ発育が不十分で、頭部の膨隆が乏しく頸部との径差が小さい(円柱状に近い)。これを取り巻く輪状靱帯も緩い。そのため腕を長軸方向に急に引っ張られると、輪状靱帯が橈骨頭を乗り越えて腕橈関節の間に滑り込み、挟まり込んだ亜脱臼の状態になる。逆に成長とともに橈骨頭が発達して頸部との径差が大きくなると、輪状靱帯は橈骨頭を越えられなくなる。好発年齢が2〜4歳ごろに限られ、学童期以降にはほとんど起こらなくなる理由はここにある。腫脹や皮下出血、変形はほとんど見られない一方で、子どもは腕を下げたまま使わなくなり、前腕を回外させようとすると強く嫌がる。これが診断の決め手になる。整復は前腕回外法などで行い、整復されれば数分以内に自分から腕を挙げて使い始める。原則として固定は行わず、腕が普通に使えることを確かめたうえで、手を急に引かない・持ち上げるときは脇の下を支えるといった再発予防を保護者に伝える。強い腫脹や変形、骨に限局した圧痛があるときは骨折を考え、整復を試みずに医師の診察へつなぐ。

✓ 2. 正しい
患肢前腕は回内位をとる。
橈骨頭に輪状靱帯が挟まったまま楽な肢位に落ち着くため、肘は軽度屈曲、前腕は回内位で下垂する。回外を促すと痛がって拒むのが特徴である。
✗ 1. 誤り
肘関節屈曲位で手を強く引かれて発生する。
肢位が逆である。発生するのは肘伸展位・前腕回内位で手を長軸方向に引かれたときで、この状態が輪状靱帯を橈骨頭から滑らせる条件をつくる。
✗ 3. 誤り
上肢自動運動制限はみられない。
肘内障ではまさに自動運動の制限が主症状である。腕を挙げない・使わない・回外を嫌がるという所見が、腫脹や変形の乏しい本症を見つける手掛かりになる。
✗ 4. 誤り
整復後は肘関節軽度屈曲位で固定する。
整復されれば直後から腕を普通に使えるようになるため、原則として固定は行わない。腕の使用が戻ったことを確認し、保護者に再発予防(急に手を引かない、脇の下を支えて抱き上げる)を説明して経過をみる。
ポイント
  • 好発は2〜4歳ごろの幼小児。手を長軸方向に引っ張られて発生する。
  • 機序:橈骨頭の発育が未熟で頭部の膨隆が乏しく(頸部との径差が小さい)、輪状靱帯も緩いため、輪状靱帯が橈骨頭を越えて腕橈関節内に滑り込む。成長して橈骨頭が発達すると発生しなくなる。
  • 受傷肢位は肘伸展位・前腕回内位。受傷後は肘軽度屈曲・前腕回内位で下垂する。
  • 腫脹・変形・皮下出血に乏しく、自動運動の制限と回外の拒否が手掛かり。
  • 整復後は原則固定不要。腕を使い始めることを確認し、再発予防を保護者に伝える。強い腫脹・変形・骨への限局圧痛があれば骨折を疑い、整復を試みず医師へつなぐ。
比較表
項目肘内障骨折を疑うとき(上腕骨顆上骨折など)
受傷の状況手を引っ張られた転倒・転落など明らかな外力
腫脹・変形ほとんどない強い腫脹・変形・皮下出血
肢位肘軽度屈曲・前腕回内位で下垂疼痛で肢位を保てず動かせない
圧痛橈骨頭付近に限られ軽度骨部に限局した強い圧痛
対応整復後は原則固定不要、再発予防を指導整復を試みず固定して医師へつなぐ
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