学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ26P103

理由で解く 柔道整復師

QJ26P103 柔道整復理論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問103
問題
33歳の男性。倒立をしている時に転倒し、右の橈骨骨幹部遠位1/3部骨折に遠位橈尺関節背側脱臼を合併した。固定肢位で正しいのはどれか。
選択肢
1 肘関節鋭角屈曲位、前腕回外位
2 肘関節鋭角屈曲位、前腕回内回外中間位
3 肘関節直角位、前腕回外位
4 肘関節直角位、前腕回内回外中間位
解答
正解4(肘関節直角位、前腕回内回外中間位)
解説

橈骨骨幹部遠位1/3の骨折に遠位橈尺関節の背側脱臼を合併したものはガレアッチ(Galeazzi)骨折。固定は肘関節直角位・前腕回内回外中間位で行う。

ガレアッチ骨折では、橈骨の短縮や遠位骨片の回旋によって遠位橈尺関節の適合性が失われ、尺骨頭が背側へ突出する。固定にあたっては、橈骨と尺骨をつなぐ骨間膜(中央索)が最も緊張する回内回外中間位をとり、橈尺骨間距離と橈骨の長さ、そして遠位橈尺関節の整復位を保つことが要点となる。肘関節は直角位として前腕の回旋を抑え、上腕から手部までを含めて固定し、三角巾で懸垂する。なお前腕の腫脹が強い時期に肘を鋭角屈曲すると循環障害を招きやすく、本骨折では用いない。整復位の保持が難しい例や尺骨頭の突出が残る例は観血療法の適応となるため、経過中は再転位の徴候(変形の再出現、疼痛の増強、回旋制限)に注意し、必要に応じて医師に紹介する。

✗ 1. 誤り
肘関節鋭角屈曲位、前腕回外位
これはモンテジア骨折伸展型(尺骨骨幹部骨折+橈骨頭前方脱臼)に対する固定肢位で、橈骨頭の再脱臼を防ぐために用いる。ガレアッチ骨折では鋭角屈曲の必要がなく、前腕の腫脹時には循環障害の危険もある。
✗ 2. 誤り
肘関節鋭角屈曲位、前腕回内回外中間位
前腕の回旋肢位は妥当だが、肘を鋭角屈曲させる理由がない。鋭角屈曲は肘窩の圧迫による循環障害(フォルクマン拘縮)の危険を高めるため、必要のない骨折では選択しない。
✗ 3. 誤り
肘関節直角位、前腕回外位
肘の肢位は妥当。前腕回外位は遠位橈尺関節背側脱臼そのものの整復肢位として用いられることもあるが、本骨折の固定肢位としては、骨間膜(中央索)が最も緊張して橈尺骨間距離と橈骨の長さを保てる回内回外中間位が標準とされる。
✓ 4. 正しい
肘関節直角位、前腕回内回外中間位
中間位で骨間膜の緊張を保って橈骨と尺骨の間隔・橈骨の長さを維持し、遠位橈尺関節の整復位を保持する。肘を直角位にすると前腕の回旋が制御しやすく、三角巾での懸垂もしやすい。
ポイント
  • ガレアッチ骨折=橈骨骨幹部(遠位1/3)骨折+遠位橈尺関節脱臼。尺骨頭が背側へ突出する。
  • モンテジア骨折=尺骨骨幹部骨折+橈骨頭脱臼。伸展型(前方脱臼)が大多数。
  • ガレアッチの固定は肘直角位・前腕回内回外中間位。根拠は一点、骨間膜(中央索)が最も緊張する肢位であり、橈尺骨間距離・橈骨長と遠位橈尺関節の整復位を保てるから。
  • 前腕骨骨折では回旋転位の残存が回内外制限に直結する。整復位の保持が難しければ観血療法の適応。
  • 肘の鋭角屈曲は循環障害の危険があるため、必要な骨折(モンテジア伸展型など)に限って用い、末梢の色調・知覚・拍動を必ず確認する。
比較表
ガレアッチ骨折モンテジア骨折(伸展型)
骨折する骨橈骨骨幹部(遠位1/3)尺骨骨幹部
脱臼する関節遠位橈尺関節(尺骨頭が背側へ)腕橈関節(橈骨頭が前方へ)
固定肢位肘関節直角位・前腕回内回外中間位肘関節鋭角屈曲位・前腕回外位
ねらい骨間膜(中央索)の緊張保持と橈骨長の維持橈骨頭の再脱臼防止
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