学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §17 各論(骨折) 下肢 / QJ26P088

理由で解く 柔道整復師

QJ26P088 柔道整復理論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問88
問題
下腿三頭筋の急激な収縮で発生する踵骨骨折はどれか。
選択肢
1 水平骨折
2 載距突起骨折
3 踵骨体部骨折
4 踵骨隆起骨折
解答
正解1(水平骨折)
解説

下腿三頭筋がアキレス腱を介して踵骨隆起を後上方へ引き剥がすことで生じるのが水平骨折(鴨嘴状骨折)である。筋収縮による裂離骨折という点が決め手。

下腿三頭筋はアキレス腱となって踵骨隆起の後面に付着する。ジャンプの着地や急な蹴り出しで筋が瞬間的に強く収縮すると、腱付着部が骨を後上方へ引き上げ、踵骨後上部が前後方向(水平方向)の骨折線で鳥のくちばし状に剥がれる。骨片は腱に引かれて近位へ転位しやすく、そのままにすると足関節の底屈力が落ち、つま先立ちや蹴り出しが弱くなる。ここで分類の階層に注意したい。教科書でいう「踵骨隆起部骨折」は、この水平骨折(鴨嘴状骨折=裂離型)と、踵部を強打・着地して起こる垂直骨折の両方を含む上位概念である。したがって本問のように水平骨折と踵骨隆起骨折が選択肢として並置されている場合は、選択肢の「踵骨隆起骨折」は水平骨折以外すなわち垂直型を指すと読み、筋収縮由来というより特異的な条件に合う水平骨折を選ぶ。踵をついて起こる骨折(体部の圧迫骨折など)とは外力の向きが逆である点を対比させると整理しやすい。整復は足関節底屈位で骨片を骨折面へ寄せて固定するが、転位が大きい場合は手術適応の判断が要るため医療機関での評価につなぐ。

✓ 1. 正しい
水平骨折
アキレス腱の牽引で踵骨隆起後上部が水平方向に裂離する骨折(鴨嘴状骨折)。下腿三頭筋の急激な収縮という設問の機序に直接対応する。
✗ 2. 誤り
載距突起骨折
載距突起は内果の下方にあり距骨を支える突起。足部の内反強制や直達外力で折れる。アキレス腱の付着部ではないため筋収縮では起こらない。
✗ 3. 誤り
踵骨体部骨折
高所からの転落など、踵をついて軸圧が加わる介達外力で発生する。関節内に及ぶとベーラー角が減少する。牽引ではなく圧迫による骨折。
✗ 4. 誤り
踵骨隆起骨折
踵骨隆起部骨折は本来、水平骨折(鴨嘴状骨折)と垂直骨折を含む上位概念であり、正答の水平骨折もその一型にあたる。ただし本問では両者が選択肢として並置されているため、この選択肢は水平骨折以外すなわち垂直骨折を指すと解する。垂直骨折は踵部を強打する直達外力や踵をついた介達外力で発生し、筋の急激な収縮による裂離という条件には水平骨折のほうが特異的に対応する。
ポイント
  • 水平骨折(鴨嘴状骨折)=アキレス腱の牽引による踵骨隆起の裂離骨折。下腿三頭筋の急収縮が機序。
  • 踵骨隆起部骨折は「水平骨折(鴨嘴状)+垂直骨折」を含む上位概念。両者が選択肢に並んだときの「隆起骨折」は垂直型を指すと読む。
  • 骨片は腱に引かれて近位転位しやすく、放置すると底屈力(蹴り出し・つま先立ち)が低下する。
  • 体部骨折は踵をついた軸圧で発生し、ベーラー角の減少をみる。外力の向きが水平骨折と逆。
  • 載距突起骨折は内果下方の限局性圧痛、前方突起骨折は足背外側の圧痛で見分ける。
  • 整復・固定は足関節底屈位で骨片を寄せるが、転位が大きければ手術判断のため医療機関へ紹介する。
比較表
骨折主な外力特徴的所見
水平骨折(鴨嘴状)=踵骨隆起部骨折の水平型下腿三頭筋の急激な収縮(牽引)骨片が後上方へ転位、底屈力低下
踵骨隆起部骨折の垂直型踵部の直達外力・踵をついた介達外力踵部後方の限局性圧痛
載距突起骨折足部の内反強制・直達外力内果直下の限局性圧痛
踵骨体部骨折高所からの転落による軸圧踵部の著明な腫脹・皮下出血、ベーラー角減少

注:踵骨隆起部骨折は水平骨折(鴨嘴状骨折)と垂直骨折を含む上位概念で、上表の第1行と第2行はその下位分類にあたる。本問は両者が選択肢に並置されているため、選択肢4「踵骨隆起骨折」は垂直型を指すものとして扱う。

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