学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ26P077

理由で解く 柔道整復師

QJ26P077 柔道整復理論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問77
問題
肩甲骨体部骨折で正しいのはどれか。
選択肢
1 粉砕骨折が多くみられる。
2 骨片の転位が大きい。
3 患肢は内転位で保持する。
4 深呼吸によって疼痛が軽減する。
解答
正解3(患肢は内転位で保持する。)
解説

肩甲骨体部は厚い筋層に包まれた扁平骨で、転位が少なく骨癒合も良好です。固定は上肢を体幹に接した内転位で保持するため、3が正しい記述です。

肩甲骨は背面を棘上筋・棘下筋・僧帽筋・菱形筋、前面を肩甲下筋・前鋸筋に覆われ、いわば筋のサンドイッチの中にあります。この構造から、体部骨折では骨片が周囲の筋と骨膜に保持されて大きくずれにくく、整復操作を要さずに固定と後療法で経過をみられることが多いとされます。固定では患肢を体幹に接して内転位に保ち、三角巾やデゾー包帯などで肩甲骨に付着する筋の牽引がかからない状態をつくります。逆に外転させると付着筋が引かれ、疼痛と骨片の動揺を招きます。なお肩甲骨は胸壁の上を滑るため、呼吸で胸郭が動くと骨折部にも動きが伝わります。

✓ 3. 正しい
患肢は内転位で保持する。
上肢を体幹に接した内転位に保つと、肩甲骨に付着する筋の牽引が最小になり、骨折部の動揺と疼痛が抑えられます。固定期間中も手指・手関節・肘の自動運動は続け、肩関節については疼痛の消退に合わせて段階的に可動域を戻していきます。
✗ 1. 誤り
粉砕骨折が多くみられる。
体部は扁平で厚い筋層に覆われ、外力の多くが筋層で緩衝されるため、骨折線は横走する比較的単純な形をとるのが中心とされます。粉砕を伴うのは強大な高エネルギー外傷の一部で、体部骨折一般の特徴とはいえません。
✗ 2. 誤り
骨片の転位が大きい。
前後を厚い筋層に挟まれ、骨膜と筋によって骨片が保持されるため、転位は軽度にとどまるのが一般的です。転位が小さいことが、保存療法で良好な結果が得られる理由でもあります。
✗ 4. 誤り
深呼吸によって疼痛が軽減する。
肩甲骨は胸壁上を滑走し、前鋸筋など呼吸に関わる筋も付着するため、深呼吸で骨折部に動きが伝わり疼痛はむしろ増強します。深呼吸時痛は肋骨骨折との共通所見でもあり、強い外力を受けた例では肋骨骨折や胸腔内損傷の併存も念頭に置いて医師の診察につなぎます。
ポイント
  • 肩甲骨体部は前後を厚い筋層に挟まれる→転位は軽度、骨癒合は良好。
  • 固定は患肢を体幹に接した内転位。外転は付着筋の牽引を招く。
  • 深呼吸で疼痛が増強する(胸壁上を滑走し呼吸筋が付着するため)。
  • 強い直達外力で生じるため、肋骨骨折・血気胸など併存損傷を念頭に置く。
  • 固定中も手指・手関節・肘の自動運動を継続し、肩は疼痛に応じて段階的に。
比較表
項目肩甲骨体部骨折肋骨骨折
発生機転背部への強い直達外力直達外力・胸郭の前後圧迫
深呼吸時痛ありあり
転位厚い筋層に保持され軽度軽度〜中等度
警戒する併存損傷肋骨骨折・胸腔内損傷など高エネルギー外傷血気胸・皮下気腫
固定患肢を体幹に接して内転位胸部固定帯
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