学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §2 総論 運動器損傷の診察 / QJ26P073

理由で解く 柔道整復師

QJ26P073 柔道整復理論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問73
問題
大腿四頭筋損傷の患者から主訴聴取後に行う身体所見評価で正しいのはどれか。
選択肢
1 関節可動域や大腿周径の計測
2 腫脹や出血斑の確認
3 筋硬結や陥凹の確認
4 FNS テストによる確認
解答
正解2(腫脹や出血斑の確認)
解説

主訴を聴取した直後に行うのは視診である。腫脹の範囲や皮下出血斑を左右で見比べることが最初の評価になる。

身体所見の評価は「問診→視診→触診→計測→徒手検査(機能検査)」と、患者に与える負担が少ない順に進めるのが原則である。大腿四頭筋損傷では、まず患部を十分に露出して腫脹の部位・広がり、皮下出血斑の有無、筋の輪郭の左右差を観察する。皮下出血斑は受傷直後には現れず、時間の経過とともに重力方向へ降りてくるため、受傷からの経過時間と合わせて読むと重症度の推定に役立つ。その後に触診で圧痛点・筋硬結・断裂部の陥凹を確かめ、周径やROMを計測し、最後に疼痛を誘発しうる徒手検査を行う。この順序を守れば、強い痛みを与える前に重症度の見当がつき、医師への紹介が必要かどうかを早く判断できる。

✗ 1. 該当しない
関節可動域や大腿周径の計測
大腿周径は腫脹や筋萎縮の指標として、膝ROMは大腿直筋の伸張性や重症度の指標として重要だが、いずれも視診・触診で状態を把握したあとに行う段階の評価である。
✓ 2. 正しい
腫脹や出血斑の確認
問診の次に行う視診にあたる。患部に触れる前に、腫脹の範囲・左右差・皮下出血斑の位置と広がりを観察することで、損傷部位と程度をおおまかに絞り込める。
✗ 3. 該当しない
筋硬結や陥凹の確認
触診で得られる所見であり、視診の次の段階。陥凹を触れれば筋の断裂(完全断裂を含む)が疑われるため重要だが、順序としては視診の後になる。
✗ 4. 該当しない
FNS テストによる確認
FNSテスト(大腿神経伸展テスト)は本来、腹臥位で膝を屈曲させたまま股関節を伸展し、大腿前面に放散する疼痛の有無をみるL2〜L4神経根症(上位腰椎椎間板ヘルニア)の神経学的検査である。ただしこの肢位は大腿前面を強く伸張するため、大腿四頭筋損傷では強い疼痛を誘発しうる。したがって行うとしても評価の最後に、必要と判断したときに限る。なお大腿直筋そのものの伸張性をみるのは尻上がり現象(エリーテスト)であり、両者の目的を取り違えないこと。
ポイント
  • 評価の順序は問診→視診→触診→計測→徒手検査。負担の少ないものから進める。
  • 視診=腫脹の範囲・皮下出血斑・筋輪郭の左右差。出血斑は遅れて出現し、重力方向へ降下する。
  • 触診=圧痛点・筋硬結・陥凹。陥凹を触れたら筋の断裂を疑う
  • 計測=大腿周径(腫脹・萎縮)と膝関節ROM(伸張性・重症度の指標)。
  • 徒手検査は目的で区別する。尻上がり現象(エリーテスト)=大腿直筋の伸張性をみるFNSテスト(大腿神経伸展テスト)=L2〜L4神経根症をみる神経学的検査。大腿四頭筋損傷ではFNSテストは疼痛誘発の手段として使われうるだけで、本来の目的は別物。
  • 疼痛を誘発する徒手検査は最後。強い腫脹・著明な陥凹・自動伸展不能があれば医師の診察につなぐ。
比較表
段階行うこと大腿四頭筋損傷で得られる情報
①問診受傷機転・主訴・経過直達外力か介達外力か、受傷からの時間
②視診腫脹・皮下出血斑・変形損傷部位と広がり、重症度の初期把握
③触診圧痛・筋硬結・陥凹断裂の有無と部位
④計測大腿周径・膝関節ROM腫脹/萎縮の程度、伸張性の低下
⑤徒手検査尻上がり現象(エリーテスト)大腿直筋の伸張性、機能障害の程度
⑤徒手検査FNSテスト(大腿神経伸展テスト)本来はL2〜L4神経根症をみる検査。ここでは大腿前面の伸張による疼痛誘発として、最後に必要時のみ
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