学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §6 総論 骨折 / QJ26P066

理由で解く 柔道整復師

QJ26P066 柔道整復理論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問66
問題
小児骨折で誤っているのはどれか。
選択肢
1 骨折の治癒過程で骨に過成長が起こる。
2 幼小児の脛骨骨幹部では骨膜下骨折が起こりやすい。
3 骨は柔軟性に富んでいるため粉砕骨折を生じることは少ない。
4 骨のリモデリングが盛んで捻転転位の自家矯正は顕著である。
解答
正解4(骨のリモデリングが盛んで捻転転位の自家矯正は顕著である。)
解説

小児骨折の最大の特徴は自家矯正(リモデリング)ですが、効く転位と効かない転位がはっきり分かれます。捻転(回旋)転位は自家矯正が期待できないため、4が誤りです。

小児骨は有機質(膠原線維)に富んで弾性・可塑性が高く、骨膜が厚く強靭で骨から剥がれにくく、骨端軟骨が活発に増殖しています。この3点から、粉砕になりにくい・骨膜下骨折や若木骨折が多い・治癒が速い・骨端軟骨への血流増加で過成長が起こる、という小児骨折の特徴がひと続きに説明できます。リモデリングも旺盛ですが、その働く方向には限界があります。自家矯正が期待できるのは側方転位と、隣接関節の運動方向(前後方向)と一致する屈曲転位で、年齢が低いほど、骨折部が骨端線に近いほど強く働きます。一方、捻転(回旋)転位と、関節運動面と直交する方向の屈曲転位は矯正されないため、整復の段階で確実に取り切っておく必要があります。

✓ 4. これが正答(記述が誤り)
骨のリモデリングが盛んで捻転転位の自家矯正は顕著である。
リモデリングが盛んなのはその通りですが、捻転(回旋)転位だけは自家矯正されません。骨の長軸まわりのねじれは骨端軟骨の増殖方向では戻せないためです。整復時に爪面の向きや関節運動軸を目安に回旋を完全に矯正し、固定後も回旋が再発していないか確認します。
✗ 1. 正答ではない(記述は正しい)
骨折の治癒過程で骨に過成長が起こる。
骨折の修復に伴う充血が骨端軟骨の増殖を促進するため、患側が健側より伸びる過成長が起こります。小児の大腿骨骨幹部骨折で1〜2cm程度の短縮を許容して整復するのは、この過成長を見込んでのことです。
✗ 2. 正答ではない(記述は正しい)
幼小児の脛骨骨幹部では骨膜下骨折が起こりやすい。
小児の骨膜は厚く強靭で骨から剥がれにくいため、骨膜の連続性が保たれたまま骨質だけが折れる骨膜下骨折が成立します。脛骨骨幹部はその代表で、転位が少なく外見の変形に乏しいため、圧痛点と軸圧痛を丁寧に確認します。
✗ 3. 正答ではない(記述は正しい)
骨は柔軟性に富んでいるため粉砕骨折を生じることは少ない。
有機質が多く弾性に富むため、外力を撓みとして吸収します。結果として粉砕には至りにくく、若木骨折・隆起(竹節状)骨折・急性塑性変形といった小児特有の不全骨折の形をとります。
ポイント
  • 自家矯正が効く=側方転位/関節運動方向と一致する屈曲転位。効かない=捻転(回旋)転位、運動面と直交する屈曲転位。
  • 自家矯正力は「年齢が低いほど」「骨端線に近いほど」大きい。
  • 骨膜が厚く強靭→骨膜下骨折・若木骨折・隆起骨折が多く、粉砕は少ない。
  • 骨端軟骨への血流増加→治癒が速い+過成長。大腿骨骨幹部では短縮位で癒合させてよい。
  • 回旋は整復時に取り切る。整復後は爪面の向き・関節軸で回旋の残存をチェックする。
比較表
転位の種類自家矯正整復での扱い
側方転位期待できるある程度の残存は許容されうる
屈曲(角状)転位:関節運動方向と同一面期待できる許容範囲は年齢・部位で判断
屈曲転位:関節運動面と直交期待できない確実に矯正する
捻転(回旋)転位期待できない必ず矯正する
短縮転位矯正ではないが過成長で相殺されうる下肢骨幹部では見込んで整復
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