学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §7 滅菌法と消毒法 / QJ26P051

理由で解く 柔道整復師

QJ26P051 外科学概論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問51
問題
ポビドンヨードの殺菌力を低下させるのはどれか。
選択肢
1 脂肪
2 蛋白質
3 炭水化物
4 アルコール
解答
正解2(蛋白質)
解説

ポビドンヨードは遊離したヨウ素が微生物の蛋白質を酸化・変性させて殺菌する。血液や膿など蛋白質(有機物)が多い場所ではヨウ素がそちらに消費され、殺菌力が落ちる。

ポビドンヨードはポリビニルピロリドンにヨウ素を結合させた製剤で、水分がある環境で少しずつ遊離ヨウ素を放出する。この遊離ヨウ素が菌体蛋白のSH基などと反応して酵素や構造蛋白を不活化するため、細菌・真菌・ウイルスに広く効く。裏を返すと、創面に血液・膿・壊死組織といった蛋白質が残っていると、ヨウ素は菌に届く前にそれらと反応して使い切られてしまう。だから消毒の前に流水や生理食塩水で創を十分に洗い、汚れを落としてから塗布することが重要である。また効果の発現には接触時間が必要で、塗ったらすぐ拭き取らず、乾くまで(おおむね2分程度)待つ。褐色が薄れて消えるのは、ヨウ素が使われて効力が下がったサインと考える。

✓ 2. 正しい
蛋白質
血液・膿・壊死組織に含まれる蛋白質は遊離ヨウ素と反応してこれを消費するため、殺菌力が低下する。対策は消毒前の十分な洗浄で、汚れを落としてから塗布し、乾くまで待つ。
✗ 1. 誤り
脂肪
皮脂や油分は薬液が皮膚に広がるのを妨げることはあるが、ヨウ素そのものを消費して殺菌力を奪う主因ではない。この設問で問われている失活要因は蛋白質である。
✗ 3. 誤り
炭水化物
糖質はヨウ素を酸化的に消費する反応性に乏しく、消毒力低下の要因として挙げられない。創面で実際に問題になるのは、血液・膿に含まれる蛋白質である。
✗ 4. 誤り
アルコール
アルコールは殺菌力を下げるどころか高める方向に働き、ポビドンヨードをアルコール基剤に溶かした術野用の製剤も用いられている。ただし粘膜や広い創面への使用は刺激が強く適さない。
ポイント
  • ポビドンヨードは遊離ヨウ素が微生物の蛋白質を酸化・変性させて殺菌する。抗菌スペクトルが広い。
  • 血液・膿・壊死組織などの蛋白質(有機物)でヨウ素が消費され失活する → 消毒の前にまず洗浄する。
  • 効果発現には接触時間が必要。塗布後、乾くまで(約2分)待ってから処置する。褐色が消えるのは効力低下のサイン。
  • ヨウ素過敏、甲状腺機能異常、新生児では使用に注意する。
  • アルコールは殺菌力を弱めない(アルコール含有のポビドンヨード製剤もある)。
比較表
消毒薬作用の特徴弱点・注意点
ポビドンヨード遊離ヨウ素が蛋白質を酸化・変性。広いスペクトル、粘膜・創面にも使える血液・膿など蛋白質で失活。乾くまでの接触時間が必要。着色、ヨウ素過敏
アルコール(消毒用エタノール)蛋白凝固で速効性。手指・皮膚の消毒に汚れが残ると効果が落ちる。粘膜・開放創には刺激が強く不適。芽胞に無効、引火性
クロルヘキシジン皮膚への残存性があり持続的に働く粘膜への使用は避ける(アナフィラキシーの報告)。芽胞に無効
ベンザルコニウム(陽イオン界面活性剤)刺激が少なく粘膜にも使える石けん(陰イオン界面活性剤)と混ざると失活。芽胞・結核菌に無効
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