学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §11 止血 / QJ26P048

理由で解く 柔道整復師

QJ26P048 外科学概論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問48
問題
止血法で誤っているのはどれか。
選択肢
1 鼻出血ではベロックのタンポン法を用いる。
2 食道静脈瘤では硬化療法を用いる。
3 静脈性出血では中枢側を圧迫する。
4 緊縛法では一時的に止血帯を緩める。
解答
正解3(静脈性出血では中枢側を圧迫する。)
解説

静脈血は末梢から心臓へ向かって流れる。したがって静脈性出血で圧迫すべきは損傷部の末梢(遠位)側であり、中枢側を圧迫するという記述が誤りである。

動脈血は心臓から末梢へ流れるので、動脈性出血では傷より中枢(近位)側の止血点を圧迫すれば血流を断てる。一方、静脈性出血で中枢側だけを圧迫すると心臓へ戻る流れをせき止めることになり、末梢に血液がうっ滞してかえって出血が増える。実際の応急処置ではまず直接圧迫止血(清潔なガーゼやパッドで創部を直接、しっかり押さえる)と患部の挙上を行い、それでも止まらないときに間接圧迫を加える、という順序が基本である。出血の色調(動脈性は鮮紅色で拍動性、静脈性は暗赤色でじわじわ湧き出る)を見て、どちら側を押さえるかを判断できるようにしておく。

✓ 3. これが答え(誤り)
静脈性出血では中枢側を圧迫する。
静脈血の流れは末梢→中枢なので、圧迫するのは末梢(遠位)側である。中枢側を圧迫するのは動脈性出血のとき。まずは創部の直接圧迫と挙上を行い、必要に応じて末梢側の間接圧迫を加える。
✗ 1. 正しい記述(答えではない)
鼻出血ではベロックのタンポン法を用いる。
鼻出血の多くは鼻中隔前方のキーゼルバッハ部位からで、座位で下を向かせ小鼻を圧迫すれば止まる。前方からのガーゼタンポンでも止まらない後方(後鼻孔側)からの出血に対して、後鼻孔をタンポンで塞ぐベロック止血法が用いられる。
✗ 2. 正しい記述(答えではない)
食道静脈瘤では硬化療法を用いる。
肝硬変などによる門脈圧亢進で生じた食道静脈瘤の破裂には、内視鏡的硬化療法(EIS)や内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)が行われる。大量出血時の一時的処置としてバルーン(S-Bチューブ)によるタンポナーデも用いられる。
✗ 4. 正しい記述(答えではない)
緊縛法では一時的に止血帯を緩める。
止血帯で長時間完全に血流を遮断すると、末梢の神経障害や筋壊死、解除後の再灌流障害(クラッシュ症候群)を起こしうる。このため第26回出題当時の教科書では「30分〜1時間ごとに一時的に緩める」とされており、本選択肢は正しい記述として扱われる。ただし現在の外傷救急では、一度装着した止血帯は原則として緩めない。緩めるたびに再出血して失血が進むためである。緊縛法は他の方法で止血できないときの最終手段であり、実地では幅の広い帯を用い、装着した時刻を記録し、緩めずにできるだけ早く医療機関へ引き継ぐ。
ポイント
  • 動脈性出血=鮮紅色・拍動性 → 中枢(近位)側を圧迫。静脈性出血=暗赤色・持続的 → 末梢(遠位)側を圧迫。
  • まず行うのは直接圧迫止血と患部の挙上。間接圧迫はその補助と考える。
  • 緊縛法(止血帯)は最終手段。幅の広いもので締め、装着時刻を記録し、速やかに医療機関へ搬送する。
  • 止血帯を緩めるかどうかは試験知識と現行実務で異なる。第26回出題当時の教科書は「一定時間ごとに一時的に緩める」で、試験ではこれを正しい記述として扱う。一方、現行の外傷救急では一度装着した止血帯は病院到着まで原則として緩めない(再出血・失血が進むため)。実地では緩めない。
  • 鼻出血はキーゼルバッハ部位が最多。座位・前傾で小鼻を圧迫、後方出血にはベロックのタンポン法。
  • 食道静脈瘤破裂は内視鏡的硬化療法(EIS)・結紮術(EVL)、緊急時はバルーンタンポナーデ。
比較表
出血の種類血液の性状圧迫する部位
動脈性出血鮮紅色、拍動性に噴出創部の中枢(近位)側
静脈性出血暗赤色、持続的に湧き出る創部の末梢(遠位)側
毛細血管性出血にじむように出る創部の直接圧迫で止まる
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