学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §9 麻酔 / QJ26P047

理由で解く 柔道整復師

QJ26P047 外科学概論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問47
問題
全身麻酔の前投薬の目的で誤っているのはどれか。
選択肢
1 不安の除去
2 感染症の予防
3 気道分泌の抑制
4 胃内容誤嚥の予防
解答
正解2(感染症の予防)
解説

麻酔前投薬は「麻酔の導入と維持を安全・円滑にする」ための薬である。不安の除去、気道分泌の抑制、胃内容誤嚥の予防などが目的で、感染症の予防は含まれない。

手術部位感染を防ぐ予防的抗菌薬は、執刀前の決められた時間内に投与する感染管理上の措置であり、麻酔前投薬とは目的も管理も別枠である。前投薬に使われるのは、抗不安・鎮静・健忘をもたらすベンゾジアゼピン系、唾液や気道分泌を抑え迷走神経反射による徐脈を予防する抗コリン薬(アトロピン、スコポラミンなど)、胃液量を減らしpHを上げて誤嚥時の肺障害を軽くするH2受容体拮抗薬・プロトンポンプ阻害薬・消化管運動改善薬、必要に応じた鎮痛薬である。全身麻酔下では咳嗽反射や嚥下反射が消失するため、逆流した胃内容が肺に入るとMendelson症候群(酸性胃液による化学性肺炎)を起こす。だからこそ術前絶飲食とあわせて誤嚥予防が重視される。なお近年は作用時間の短い薬剤が普及し、前投薬を省略する例も多いが、「何のための薬か」を整理する問題として問われている。

✓ 2. これが答え(前投薬の目的ではない)
感染症の予防
感染予防は予防的抗菌薬の役割で、麻酔前投薬の目的ではない。麻酔前投薬は不安・分泌・誤嚥・反射といった「麻酔をかけるうえでの障害」を減らすために用いる。
✗ 1. 前投薬の目的(答えではない)
不安の除去
ベンゾジアゼピン系などで鎮静・抗不安・健忘を得る。不安や興奮は交感神経を刺激して血圧上昇・頻脈を招くため、これを抑えることが循環の安定にもつながる。
✗ 3. 前投薬の目的(答えではない)
気道分泌の抑制
アトロピンなどの抗コリン薬で唾液・気道分泌を抑える。分泌物は気道閉塞や挿管操作の妨げになるうえ、抗コリン薬は気管挿管や内臓牽引に伴う迷走神経反射性の徐脈も予防する。
✗ 4. 前投薬の目的(答えではない)
胃内容誤嚥の予防
H2受容体拮抗薬・プロトンポンプ阻害薬で胃液の量を減らし酸度を下げ、消化管運動改善薬で胃内容の排出を促す。全身麻酔中は気道防御反射が失われるため、誤嚥対策は前投薬の重要な柱である。
ポイント
  • 麻酔前投薬の目的は、①不安・緊張の除去(鎮静・健忘)、②気道分泌の抑制と迷走神経反射(徐脈)の予防、③胃液量減少・pH上昇による誤嚥性肺炎の予防、④鎮痛。
  • 感染症の予防(予防的抗菌薬)は執刀前に行う別の管理であり、前投薬の目的ではない。
  • 抗コリン薬(アトロピン・スコポラミン)=分泌抑制+徐脈予防。副作用は口渇・頻脈・散瞳。
  • ベンゾジアゼピン系=抗不安・鎮静・健忘。
  • 全身麻酔では気道防御反射が消えるため、術前絶飲食とあわせて誤嚥対策を徹底する。
比較表
目的代表的な薬ねらい
不安の除去ベンゾジアゼピン系(ミダゾラム等)鎮静・抗不安・健忘で循環変動を抑える
気道分泌の抑制/徐脈予防抗コリン薬(アトロピン、スコポラミン)分泌物による気道トラブルと迷走神経反射を防ぐ
誤嚥の予防H2受容体拮抗薬、PPI、消化管運動改善薬胃液量を減らしpHを上げ、誤嚥時の肺障害を軽くする
鎮痛オピオイド等導入時の疼痛・反応を抑える
(別枠)感染予防予防的抗菌薬手術部位感染の予防。前投薬の目的ではない
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