学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §11 止血 / QJ24P049

理由で解く 柔道整復師

QJ24P049 外科学概論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問49
問題
対処法で誤っている組合せはどれか。
選択肢
1 喀血気管支動脈カテーテル塞栓術
2 鼻出血ベロックのタンポン法
3 出血性胃潰瘍-内視鏡的止血術
4 心タンポナーデー冠動脈ステント留置
解答
正解4(心タンポナーデー冠動脈ステント留置)
解説

設問は「誤っている組合せ」を選ぶ否定形。心タンポナーデは心嚢内にたまった液体が心臓を圧迫する病態で、治療は心嚢穿刺・ドレナージ。冠動脈ステントでは圧は下がらない。

心タンポナーデでは心室の拡張が妨げられて静脈還流が滞り、Beck(ベック)の三徴(血圧低下、頸静脈怒張、心音減弱)や奇脈を呈する心外閉塞・拘束性ショックとなる。外傷性の心損傷、心破裂、心膜炎、大動脈解離などが原因で、まず心嚢穿刺やドレナージ、状況によっては開胸による心嚢開放で心嚢内圧を下げることが救命につながる。一方、冠動脈ステント留置は急性心筋梗塞や狭心症で狭窄・閉塞した冠動脈を広げて再灌流させる経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の手技であり、対象が異なる。出血・止血の問題は「どこから出ているか」と「その部位に届く手段は何か」をセットで押さえると迷わない。

✓ 4. これが答え(誤った組合せ)
心タンポナーデー冠動脈ステント留置
心タンポナーデに対しては心嚢穿刺・心嚢ドレナージで貯留液を抜き、心臓の拡張を回復させるのが基本。冠動脈ステント留置は冠動脈の狭窄・閉塞に対する治療であり、心嚢内圧を下げる効果はない。組合せとして対応していない。
✗ 1. 正しい組合せ(答えではない)
喀血気管支動脈カテーテル塞栓術
喀血の出血源は多くが気管支動脈系で、体循環系のため圧が高く止血しにくい。カテーテルを責任血管まで進めて塞栓する気管支動脈塞栓術(BAE)は、喀血に対する有効な止血法として確立している。
✗ 2. 正しい組合せ(答えではない)
鼻出血ベロックのタンポン法
ベロック(Bellocq)のタンポン法は、後鼻孔にガーゼ球を留置して後方からの鼻出血を圧迫止血する方法。前方(キーゼルバッハ部位)からの出血では鼻翼の圧迫やガーゼ挿入で止まることが多く、それで止まらない後方出血に対して用いられる。
✗ 3. 正しい組合せ(答えではない)
出血性胃潰瘍-内視鏡的止血術
出血性胃潰瘍では上部消化管内視鏡でクリップ法、薬剤局注、熱凝固などの内視鏡的止血術を行う。出血源の確認と止血を同時に行える点が利点で、第一選択となる。
ポイント
  • 心タンポナーデ:Beckの三徴(血圧低下・頸静脈怒張・心音減弱)+奇脈 → 心嚢穿刺・ドレナージ
  • 冠動脈ステント留置は急性心筋梗塞・狭心症に対するPCIの手技。心嚢の圧は下げられない
  • 喀血は気管支動脈(体循環系)が出血源のことが多い → 気管支動脈塞栓術(BAE)
  • 後方からの鼻出血 → ベロックのタンポン法。前方(キーゼルバッハ部位)はまず圧迫
  • 出血性胃潰瘍 → 内視鏡的止血術(クリップ・局注・熱凝固)。診断と治療を同時に行える
比較表
病態問題の本質第一に選ばれる対処
喀血気管支動脈からの気道内出血気管支動脈塞栓術(BAE)
鼻出血(後方)圧迫が届きにくい後鼻孔からの出血ベロックのタンポン法
出血性胃潰瘍胃粘膜潰瘍底の血管からの出血内視鏡的止血術
心タンポナーデ心嚢内貯留による心室拡張の障害心嚢穿刺・心嚢ドレナージ
急性心筋梗塞冠動脈の閉塞による心筋虚血冠動脈ステント留置(PCI)
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