学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §3 外科的感染症 / QJ26P045

理由で解く 柔道整復師

QJ26P045 外科学概論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問45
問題
治療で誤っている組合せはどれか。
選択肢
1 梅毒-ペニシリン
2 破傷風抗ウイルス薬
3 蜂刺傷-抗ヒスタミン薬
4 ガス壊疽-テトラサイクリン
解答
正解2(破傷風抗ウイルス薬)
解説

破傷風は破傷風菌(Clostridium tetani)という細菌が産生する毒素による病気で、ウイルス感染ではない。抗ウイルス薬はまったく効かないので、この組合せが誤りである。

破傷風菌は土壌中にいる嫌気性のグラム陽性桿菌で、深い刺創や汚染創のように酸素が届きにくい環境で増殖し、神経毒素(テタノスパスミン)を産生する。この毒素が抑制性神経の伝達を遮断するため、開口障害(牙関緊急)、痙笑、頸部硬直、後弓反張といった持続的な筋緊張が起こり、呼吸筋が侵されると致命的になる。治療は創部の切開・洗浄とデブリドマンで菌の増殖環境をなくすこと、ペニシリンやメトロニダゾールなどの抗菌薬、抗破傷風ヒト免疫グロブリンによる毒素の中和、そして鎮静と呼吸管理である。予防はトキソイド(ワクチン)で、土砂で汚れた創を扱ったときは十分に洗浄したうえで、追加接種の要否を判断してもらうため医療機関の受診をすすめる。

✓ 2. これが答え(誤っている組合せ)
破傷風抗ウイルス薬
「破傷風-抗ウイルス薬」の組合せ。原因は細菌とその毒素なので抗ウイルス薬は無効である。正しくは抗菌薬+抗破傷風免疫グロブリン+創の外科的処置、そして予防としてのトキソイド接種。
✗ 1. 正しい組合せ(答えではない)
梅毒-ペニシリン
梅毒トレポネーマが原因の細菌感染症で、現在でもペニシリンに対する耐性がほとんど報告されておらず第一選択薬である。ペニシリンアレルギーがある場合にのみ他剤を用いる。
✗ 3. 正しい組合せ(答えではない)
蜂刺傷-抗ヒスタミン薬
刺傷部の発赤・腫脹・瘙痒は、蜂毒によるヒスタミン遊離が主体なので抗ヒスタミン薬やステロイド外用が有効である。ただし蕁麻疹・喘鳴・血圧低下など全身症状を伴うアナフィラキシーではアドレナリンの筋肉内注射が最優先で、直ちに救急要請する。
✗ 4. 正しい組合せ(答えではない)
ガス壊疽-テトラサイクリン
「ガス壊疽-テトラサイクリン」の組合せ。ガス壊疽はウェルシュ菌などクロストリジウム属による嫌気性菌感染で、治療の柱は広範なデブリドマン、抗菌薬(ペニシリン系が第一選択で、テトラサイクリン系やクリンダマイシンも用いられる)、および高圧酸素療法である。抗菌薬を用いる点で組合せは成立している。
ポイント
  • 破傷風は細菌(クロストリジウム属)の毒素による疾患。抗ウイルス薬は無効で、抗菌薬+抗毒素(免疫グロブリン)+創の外科処置が基本。予防はトキソイド。
  • 破傷風の初発症状は開口障害。土壌汚染創や錆びた釘による刺創のあとに顎が開きにくくなったら疑って受診をすすめる。
  • 梅毒は今もペニシリンが第一選択。
  • 蜂刺傷は局所反応なら抗ヒスタミン薬、全身反応(アナフィラキシー)はアドレナリン筋注と救急要請。
  • ガス壊疽はデブリドマン+抗菌薬+高圧酸素。皮下気腫による捻髪音と急速な進行が特徴。
比較表
疾患病原体の種類治療の柱
梅毒細菌(梅毒トレポネーマ)ペニシリン
破傷風細菌(破傷風菌)とその毒素創の切開・デブリドマン、抗菌薬、抗破傷風免疫グロブリン、呼吸管理(予防はトキソイド)
蜂刺傷毒(アレルギー反応)局所は冷却・抗ヒスタミン薬・ステロイド、全身反応はアドレナリン筋注
ガス壊疽細菌(クロストリジウム属)広範なデブリドマン、抗菌薬、高圧酸素療法
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