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理由で解く 柔道整復師

QJ26P028 一般臨床医学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問28
問題
胸郭の変形と原因の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 鳩胸-マルファン(Marfan)症候群
2 扁平胸-心臓弁膜症
3 漏斗胸-胃癌術後
4 樽状胸慢性閉塞性肺疾患
解答
正解4(樽状胸慢性閉塞性肺疾患)
解説

正しい組合せは樽状胸と慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。樽状胸は肺が過膨張して胸郭の前後径が増した状態で、COPDの身体所見として典型的に現れる。

胸郭変形は大きく2群に分けて覚えると整理しやすい。1つは胸骨・肋軟骨の発育の問題によるもので、胸骨下部が陥凹する漏斗胸と、胸骨が前方に突出する鳩胸がこれにあたる。もう1つは肺や全身状態を映すもので、樽状胸と扁平胸がこれにあたる。COPDでは末梢気道の閉塞と肺胞壁の破壊により呼気が吐き切れず、肺に空気が残る(エアトラッピング)。その結果、肺の容積が増して胸郭が前後方向に膨らみ、肋骨は水平化し、横隔膜は押し下げられて平低化する。横隔膜が平低化すると収縮しても胸腔が広がりにくくなるため、胸鎖乳突筋をはじめとする呼吸補助筋に頼るようになり、その発達が目立つ。これとは別の機序として、呼気時に末梢気道が虚脱しやすいため、口をすぼめて呼気時の気道内圧を保ち、空気を吐き出しやすくする口すぼめ呼吸がみられる。樽状胸は「肺がふくらんだまま戻らない」ことの結果と理解すれば、COPDと結びつけて記憶できる。施術の場面でこうした胸郭と呼吸パターンを認めたら、呼吸機能の評価と禁煙支援を含む管理が必要なため、内科での評価につなげる。

✓ 4. 正しい
樽状胸慢性閉塞性肺疾患
樽状胸と慢性閉塞性肺疾患の組合せで正しい。COPDでは呼気が吐き切れずに肺が過膨張し、胸郭前後径の増大、肋骨の水平化、横隔膜の平低化が起こって胸郭が樽のような形になる。肺の過膨張という単一の機序で変形と疾患が直結しており、4肢のなかで唯一そのまま成立する組合せである。
✗ 1. 誤り
鳩胸-マルファン(Marfan)症候群
鳩胸は胸骨が前方へ突出する変形で、代表的な原因はビタミンD欠乏によるくる病や、小児期から続く慢性の気道疾患である。マルファン症候群でも結合組織の脆弱性から胸郭変形(漏斗胸・鳩胸のいずれも)を生じうるが、鳩胸の原因を代表するものではない。これに対し選択肢4の樽状胸と慢性閉塞性肺疾患は、肺の過膨張という機序で変形と疾患が直結する組合せであり、「変形と原因の組合せ」を問う本問では4が正しい。
✗ 2. 誤り
扁平胸-心臓弁膜症
扁平胸は胸郭の前後径が短く平坦になった状態で、やせ型の体質や、結核をはじめとする消耗性疾患に伴ってみられる。心臓弁膜症が扁平胸をきたすという関係はなく、組合せとして成り立たない。
✗ 3. 誤り
漏斗胸-胃癌術後
漏斗胸は胸骨下部と隣接する肋軟骨が陥凹する先天性の胸郭変形で、肋軟骨の過剰な発育が関与するとされる。胃癌の手術によって生じるものではなく、原因として結びつかない。
ポイント
  • 樽状胸=COPD。肺の過膨張で前後径が増大し、肋骨は水平化、横隔膜は平低化する。
  • COPDでは横隔膜平低化により呼吸補助筋(胸鎖乳突筋)が発達し、別の機序として気道の虚脱を防ぐ口すぼめ呼吸がみられる。
  • 漏斗胸(胸骨下部の陥凹)と鳩胸(胸骨の前方突出)は胸骨・肋軟骨の発育に関わる変形。
  • 鳩胸の代表的な原因はくる病や小児期からの慢性気道疾患。マルファン症候群でも胸郭変形は生じうるが、鳩胸の原因を代表するものではない。
  • 扁平胸は前後径が短い胸郭で、やせ型の体質や消耗性疾患でみられる。
  • 胸郭変形は「発育由来(漏斗胸・鳩胸)」と「肺・全身状態の反映(樽状胸・扁平胸)」に二分して覚える。
比較表
胸郭変形形の特徴代表的な原因
樽状胸前後径が増大、肋骨水平化、横隔膜平低化慢性閉塞性肺疾患(肺気腫)など肺の過膨張
漏斗胸胸骨下部が陥凹先天性の肋軟骨発育異常(結合組織疾患に伴うこともある)
鳩胸胸骨が前方に突出くる病、小児期からの慢性気道疾患(結合組織疾患に伴うこともある)
扁平胸前後径が短く平坦やせ型の体質、結核などの消耗性疾患
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