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理由で解く 柔道整復師

QJ26P023 一般臨床医学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問23
問題
関節リウマチでみられる手の変形はどれか。
選択肢
1 猿手
2 鷲手
3 太鼓ばち指
4 手指尺側偏位
解答
正解4(手指尺側偏位)
解説

関節リウマチは滑膜の慢性炎症が関節を内側から壊していく疾患で、手ではMP(中手指節)関節で手指がそろって小指側へ流れる手指尺側偏位が代表的な変形である。

増殖した滑膜組織(パンヌス)が関節軟骨と骨を侵し、同時に関節包・靱帯・腱の支持性を緩めるため、関節の並びを保てなくなる。MP関節ではもともと伸筋腱が尺側へ滑りやすい構造をしており、把握やつまみ動作のたびに指を尺側へ押す力が加わることも重なって、支持組織が緩むと手指が一斉に小指側へ偏位する。同じ機序でスワンネック変形、ボタン穴変形、母指のZ変形、高度な骨吸収によるムチランス変形などが生じる。つまり関節リウマチの手の変形は関節そのものの破壊によるものであり、神経の麻痺で筋がやせて起こる変形(猿手・鷲手)や、全身の低酸素状態を映す指趾末端の変形(太鼓ばち指)とは成り立ちがまったく違う。手の変形を問われたら「関節が壊れたのか、神経がやられたのか、全身状態の反映か」の3つに仕分けると確実に選べる。臨床では変形の進行を防ぐことが第一なので、炎症期の関節に無理な矯正力を加えず、装具や生活動作の工夫(把持動作で尺側へ力をかけない持ち方など)を指導し、薬物治療は主治医と連携して継続してもらう。

✓ 4. 正しい
手指尺側偏位
関節リウマチの手に特徴的な変形。MP関節部の滑膜炎で支持組織が緩み、伸筋腱の尺側への滑りと把握動作の力が加わって、第2〜5指がそろって小指側へ流れる。同時に手根部の橈側偏位を伴い、全体としてジグザグ変形を呈することが多い。
✗ 1. 誤り
猿手
正中神経麻痺による変形。母指球筋が萎縮して手掌が平坦になり、母指の対立ができなくなるためサルの手のように見える。原因は神経の障害であり、滑膜炎による関節破壊で生じるものではない。
✗ 2. 誤り
鷲手
尺骨神経麻痺による変形。骨間筋と第3・4虫様筋が麻痺・萎縮し、MP関節が過伸展、PIP・DIP関節が屈曲した鉤爪状の肢位となる。これも神経麻痺が原因で、関節リウマチの変形ではない。
✗ 3. 誤り
太鼓ばち指
ばち状指ともいい、指趾末節が膨隆して爪が時計皿状に彎曲する。慢性の低酸素血症をきたす肺疾患やチアノーゼ性先天性心疾患、感染性心内膜炎、肝硬変、炎症性腸疾患などでみられる全身疾患のサインで、手指の関節変形ではない。
ポイント
  • 関節リウマチの手の変形=滑膜炎による関節破壊が原因。代表は手指尺側偏位
  • ほかにスワンネック変形、ボタン穴変形、母指Z変形、ムチランス変形も同じ機序で生じる。
  • 猿手=正中神経麻痺(母指球萎縮・対立不能)、鷲手=尺骨神経麻痺(骨間筋萎縮・鉤爪変形)。神経性の変形。
  • 太鼓ばち指は慢性低酸素血症など全身疾患のサインで、関節の変形ではない。
  • 手の変形は「関節破壊型/神経麻痺型/全身状態反映型」に仕分けて覚える。
比較表
変形原因のタイプ代表的な原因見分けるポイント
手指尺側偏位関節破壊関節リウマチMP関節で第2〜5指が一斉に小指側へ流れる
猿手神経麻痺正中神経麻痺母指球の萎縮、母指対立不能
鷲手神経麻痺尺骨神経麻痺骨間筋の萎縮、MP過伸展+IP屈曲
太鼓ばち指全身状態の反映慢性肺疾患、チアノーゼ性心疾患など指趾末節の膨隆と爪の彎曲。関節は変形しない
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