学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / リハビリテーション医学 ▸ §3 リハビリテーション医学の基礎医学 / QJ26P013
理由で解く 柔道整復師
末梢神経麻痺は下位運動ニューロン(脊髄前角細胞から末梢神経まで)の障害であり、麻痺は「弛緩性」となる。反射弓そのものが断たれるため腱反射は減弱〜消失し、正解は3である。
腱反射は、腱をたたく伸張刺激がIa線維(求心路)→脊髄→α運動ニューロン(遠心路)→筋、という反射弓をひとまわりして起こる。末梢神経が障害されるとこの弓のどこかが途切れるので、反射は出したくても出せない(腱反射の減弱〜消失)。筋トーヌス(安静時の筋の張り)も、随意運動の指令によってではなく、この伸張反射弓(筋紡錘→Ia線維→α運動ニューロン)によって保たれている。したがって弓が断たれれば筋の緊張を保つ仕組みそのものが働かなくなり、トーヌスは亢進ではなく低下する。一方、Babinski徴候などの病的反射は、上位運動ニューロン(錐体路)が障害されて脊髄反射がその抑制から解放されたときに現れる「解放現象」である。末梢神経麻痺では上位運動ニューロンが健常であり、そもそも解放現象が起こる条件がないため病的反射は出現しない(陰性)。反射弓の遮断で説明されるのは腱反射の消失と筋トーヌスの低下であって、病的反射の陰性ではない点を区別しておきたい。また筋は神経の栄養的支配を失うため、除神経後2〜3週ごろから筋萎縮が明らかになり始め、その後数か月かけて高度な神経原性萎縮へ進行する。同じ2〜3週前後から、針筋電図では線維自発電位がとらえられ、電気診断上は変性反応を示すようになる(なお、肉眼で観察できる線維束性収縮は脊髄前角細胞レベルの障害(ALSなど)で目立つ所見であり、末梢神経そのものの麻痺では通常みられない)。この問題は「弛緩性か痙性か」をまず判定すれば、4つの所見が自動的に決まる構造になっている。ただし中枢性麻痺でも発症直後は弛緩性を呈する時期があり(脳卒中の弛緩期=Brunnstrom stage I、脊髄損傷の脊髄ショック期)、この時期は腱反射が消失し筋トーヌスも低下するため、反射と緊張だけでは末梢性と鑑別できない。そのときは病的反射の有無と、麻痺の分布が末梢神経の走行・支配領域に一致するか(それとも片麻痺・対麻痺か)、感覚障害の分布はどうかをセットで確認して障害部位を絞る。
| 所見 | 末梢神経麻痺(下位運動ニューロン/弛緩性) | 中枢性麻痺(上位運動ニューロン/痙性) |
|---|---|---|
| 筋トーヌス | 低下(弛緩。伸張反射弓の遮断による) | 亢進(痙縮・折りたたみナイフ現象) ※急性期(弛緩期・脊髄ショック期)は低下 |
| 腱反射 | 減弱〜消失(反射弓の遮断による) | 亢進(クローヌスを伴うことがある) ※急性期(弛緩期・脊髄ショック期)は減弱〜消失 |
| 病的反射 | 陰性(上位運動ニューロンが健常で解放現象が起こらない) | 陽性(Babinski徴候など=解放現象)。急性期の鑑別ではこれと分布が手がかりになる |
| 筋萎縮 | 高度(神経原性)。2〜3週ごろから出現し数か月で高度に | 軽度・遅発(廃用性) |
| その他 | 線維自発電位(針筋電図)、変性反応、支配領域の感覚障害。線維束性収縮は通常みられない(前角細胞障害の所見) | 連合反応・共同運動パターン、随意性の低下 |
| 麻痺の分布 | 障害された神経の支配領域に一致 | 片麻痺・対麻痺など中枢の病巣に応じた分布 |
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