学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §7 炎症 / QJ26A103

理由で解く 柔道整復師

QJ26A103 病理学概論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問103
問題
肉芽腫性炎でないのはどれか。
選択肢
1 偽膜性大腸炎
2 結核
3 サルコイドーシス
4 野兎病
解答
正解1(偽膜性大腸炎)
解説

偽膜性大腸炎は、フィブリン(線維素)と壊死物・白血球からなる偽膜が粘膜表面に張りつく線維素性炎であり、肉芽腫は作らない。よって肉芽腫性炎でないのは1である。

肉芽腫性炎は慢性炎症の一型で、マクロファージが変身した類上皮細胞が集まって結節(肉芽腫)を作り、しばしば融合して多核巨細胞となるのが特徴である。分解しにくい病原体や異物を、免疫の力で壁を作って囲い込む反応で、Ⅳ型アレルギー(細胞性免疫)が基盤にある。代表は結核・サルコイドーシス・ハンセン病・梅毒(ゴム腫)・野兎病・クローン病・真菌症・異物肉芽腫で、「排除しきれない相手を封じ込める」という共通点で覚えるとよい。名称の似た「肉芽組織」は創傷治癒でできる修復組織であり、別物として区別する。一方、偽膜性大腸炎は抗菌薬投与後の菌交代現象によりクロストリディオイデス・ディフィシルが異常増殖し、その産生する毒素で粘膜が壊死して起こる。滲出したフィブリンが壊死物・好中球とともに膜状に固まったものが偽膜で、内視鏡では黄白色の斑として見える。水様下痢・発熱・腹痛が主症状で、抗菌薬使用後にこれらが出た場合は速やかな受診が必要である。

✓ 1. これが答え(肉芽腫性炎ではない)
偽膜性大腸炎
抗菌薬使用に伴う菌交代現象でクロストリディオイデス・ディフィシルが増え、毒素により粘膜が壊死する。フィブリンを主体とする偽膜が形成される線維素性炎であり、類上皮細胞肉芽腫は形成されない。
✗ 2. 肉芽腫性炎である(答えではない)
結核
肉芽腫性炎の代表である。中心に乾酪壊死、その周囲を類上皮細胞が取り囲み、核が馬蹄形に並ぶラングハンス巨細胞とリンパ球を伴う結核結節を形成する。
✗ 3. 肉芽腫性炎である(答えではない)
サルコイドーシス
原因不明の全身性肉芽腫性疾患で、乾酪壊死を伴わない(非乾酪性)肉芽腫が肺・リンパ節・眼・皮膚・心臓などに多発する。両側肺門リンパ節腫脹やぶどう膜炎が特徴的で、乾酪壊死の有無が結核との鑑別点になる。
✗ 4. 肉芽腫性炎である(答えではない)
野兎病
野兎病菌(Francisella tularensis)による人獣共通感染症で、ノウサギの解体やマダニの刺咬で感染する。所属リンパ節が腫れ、壊死を伴う肉芽腫を形成する。
ポイント
  • 肉芽腫性炎=類上皮細胞+多核巨細胞による結節。基盤はⅣ型アレルギー(細胞性免疫)
  • 代表:結核、サルコイドーシス、ハンセン病、梅毒(ゴム腫)、野兎病、クローン病、真菌症、異物肉芽腫。
  • 結核=乾酪壊死あり、サルコイドーシス=乾酪壊死なしが鑑別の軸。
  • 偽膜性大腸炎=抗菌薬後の菌交代 → クロストリディオイデス・ディフィシル → 毒素 → 偽膜(線維素性炎)
  • 肉芽腫(慢性炎症の結節)と肉芽組織(創傷治癒の修復組織)を混同しない。
比較表
炎症の型主な滲出物・所見代表疾患
肉芽腫性炎(特異性炎)類上皮細胞・多核巨細胞の結節結核、サルコイドーシス、野兎病、ハンセン病
線維素性炎フィブリンの析出、偽膜形成偽膜性大腸炎、ジフテリア、線維素性心膜炎
化膿性炎好中球と融解壊死(膿)膿瘍、蜂窩織炎、蓄膿症
漿液性炎蛋白の少ない漿液水疱、初期の胸膜炎、鼻カタル
出血性炎赤血球を多く含む滲出インフルエンザ肺炎、劇症型感染症
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