学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §13 筋肉の機能 / QJ26A081

理由で解く 柔道整復師

QJ26A081 生理学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問81
問題
骨格筋細胞の横行小管で正しいのはどれか。
選択肢
1 筋細胞の表面に並行して存在する。
2 アセチルコリンを受容体へ運ぶ。
3 興奮をトライアッドへ伝える。
4 筋収縮時に短縮する。
解答
正解3(興奮をトライアッドへ伝える。)
解説

横行小管(T管)は筋細胞膜が筋線維の内部へ横向きに落ち込んだ管で、表面に届いた活動電位を筋線維の深部まで運ぶ通り道です。その終着点が筋小胞体の終末槽と接するトライアッド(三つ組)で、ここで電気の信号がCa²⁺放出の合図に変換されます。

骨格筋では1本のT管とその両側の終末槽2つが並び、断面で三つ並んで見えることからトライアッドと呼ばれ、A帯とI帯の境界部に位置します。筋小胞体は筋原線維を網目状に取り巻く袋で、筋原線維に平行に走る縦行小管の部分と、T管の両側で横向きに接して膨らんだ終末槽の部分からなります。T管の膜にはジヒドロピリジン受容体という電位センサーがあり、活動電位が届いて構造が変わると、向かい合う終末槽のリアノジン受容体を開かせます。放出されたCa²⁺がトロポニンCに結合するとアクチン上の結合部位が現れ、クロスブリッジが働いて収縮が始まります。この流れが興奮収縮連関で、T管はそのなかで「電気信号を奥まで届ける役」に徹しています。太い筋線維でも中心部まで同時に収縮できるのは、この深部への通り道があるおかげです。

✓ 3. 正しい
興奮をトライアッドへ伝える。
T管は表面膜の活動電位をそのまま筋線維の深部へ導き、終末槽と作るトライアッドで筋小胞体へ橋渡しします。ここでT管側の電位センサーが筋小胞体側のCa²⁺放出チャネルを開かせるので、「興奮をトライアッドへ伝える」がT管の本業そのものです。
✗ 1. 誤り
筋細胞の表面に並行して存在する。
T管は筋線維の長軸に対して直角の向きに、細胞膜が内部へ陥入してできた管です。表面に沿って平行に走るのではなく、表面から中へ潜り込む点が要点になります。筋原線維に平行に伸びるのは筋小胞体の縦行小管の部分です(同じ筋小胞体でも、終末槽はT管の両側に横向きに接しています)。「横行」「縦行」という名前と走行の向きをセットで覚えると取り違えを防げます。
✗ 2. 誤り
アセチルコリンを受容体へ運ぶ。
アセチルコリンは運動神経終末のシナプス小胞から放出され、狭いシナプス間隙を拡散して終板のニコチン性受容体に届きます。運搬役が別に必要な仕組みではありません。T管が引き受けるのは、終板電位から生じた活動電位を筋線維の深部へ伝える段階です。神経筋接合部での伝達と、筋細胞内での興奮の伝播を段階として分けて整理しましょう。
✗ 4. 誤り
筋収縮時に短縮する。
収縮時に短くなるのはサルコメアで、フィラメント滑り込みによりI帯とH帯が狭まり、A帯の幅は変わりません。T管は膜でできた通路であって、自ら長さを変えて力を生む構造ではありません。「収縮で短くなるものはどれか」と問われたらサルコメア・I帯・H帯を挙げ、A帯とT管は変わらないと押さえておくと確実です。
ポイント
  • T管=筋細胞膜の陥入。筋線維の長軸に対して横向きに走り、内部は細胞外液とつながる。
  • 骨格筋のトライアッド=T管1本+終末槽(筋小胞体の膨大部)2つ。A帯とI帯の境界部にある。
  • 興奮収縮連関はT管の電位センサー→筋小胞体のCa²⁺放出チャネル→Ca²⁺放出→トロポニンCへ結合、の順。
  • 筋原線維に平行に走るのは筋小胞体の縦行小管の部分。同じ筋小胞体でも終末槽はT管の両側に横向きに接する。
  • 収縮で短縮するのはサルコメア(I帯・H帯)。A帯とT管は短縮しない。
比較表
横行小管(T管)筋小胞体(縦行小管+終末槽)
由来筋細胞膜の陥入細胞内の小胞体
走行筋線維の長軸に直角(横行)縦行小管は筋原線維に平行。終末槽はT管の両側に横向きに接する
内部細胞外液とつながる細胞内。Ca²⁺を貯蔵
主な役割活動電位を深部へ伝えるCa²⁺の放出と回収
接点T管1本+両側の終末槽2つ=トライアッド
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