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理由で解く 柔道整復師

QJ26A075 生理学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問75
問題
バゾプレッシン分泌を促進させるのはどれか。
選択肢
1 大動脈圧の上昇
2 血漿浸透圧の上昇
3 循環血液量の増加
4 動脈血酸素分圧の上昇
解答
正解2(血漿浸透圧の上昇)
解説

バゾプレッシン(抗利尿ホルモン、ADH)の分泌を促すのは血漿浸透圧の上昇である。体液が濃くなったことを視床下部が感知し、腎で水を回収して薄めようとする反応である。

バゾプレッシンは視床下部の視索上核・室傍核の神経細胞で作られ、軸索を下って下垂体後葉から血中に放出される。最も鋭敏な刺激は血漿浸透圧で、視床下部の浸透圧受容器はわずか1〜2%の上昇にも反応して分泌を増やす。同時に口渇中枢も刺激されるため、飲水行動と水の再吸収が両輪で働く。もう一つの刺激は循環血液量の減少や血圧低下で、心房や大静脈の低圧受容器、頸動脈洞・大動脈弓の圧受容器からの抑制性入力が減ることによって分泌が増える。作用は腎集合管の主細胞のV₂受容体を介し、水チャネルであるアクアポリン2を管腔側の膜に組み込ませて水の再吸収を増やす。その結果、尿量は減り尿は濃縮される。高濃度では血管平滑筋のV₁受容体を介して血管を収縮させ血圧を上げる(バゾプレッシン=血管に圧、という名の由来)。

✗ 1. 誤り
大動脈圧の上昇
大動脈弓や頸動脈洞の圧受容器が強く伸展され、中枢への抑制性入力が増える。その結果バゾプレッシンの分泌は抑制される方向に働く。
✓ 2. 正しい
血漿浸透圧の上昇
視床下部の浸透圧受容器が感知し、1〜2%の変化でも分泌を増やす最も鋭敏な刺激である。腎集合管での水再吸収が増えて尿が濃縮され、体液が薄まる方向に戻る。
✗ 3. 誤り
循環血液量の増加
心房の容量(低圧)受容器が伸展されて分泌は抑制される。あわせて心房から心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)が出て、利尿により余分な水分を排泄する方向へ向かう。
✗ 4. 誤り
動脈血酸素分圧の上昇
バゾプレッシン分泌の主要な調節因子ではない。分泌に関わるのは浸透圧と循環血液量・血圧であり、酸素分圧の上昇が分泌を促す仕組みは知られていない。
ポイント
  • バゾプレッシン(ADH)は視床下部(視索上核・室傍核)で合成され、下垂体後葉から分泌される。
  • 分泌を促す最大の刺激は血漿浸透圧の上昇。次いで循環血液量の減少・血圧低下、痛みやストレス、アンギオテンシンII。
  • 分泌を抑えるのは血漿浸透圧の低下、循環血液量の増加、血圧の上昇、飲酒。
  • 作用は集合管のV₂受容体→アクアポリン2→水再吸収増加→尿量減少・尿濃縮。高濃度ではV₁受容体を介して血管収縮。
  • 分泌や作用が不足すると尿崩症となり、大量の希釈尿と口渇をきたす。
比較表
刺激感知する受容器ADH分泌結果
血漿浸透圧の上昇視床下部の浸透圧受容器増加水再吸収↑・尿濃縮、口渇も出現
血漿浸透圧の低下同上減少希釈尿の排泄
循環血液量の減少・出血心房・大静脈の低圧受容器増加水を保持して循環血液量を維持
循環血液量の増加同上減少利尿(ANP分泌も増加)
動脈圧の上昇頸動脈洞・大動脈弓の圧受容器減少利尿方向
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