学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §9 内分泌 / QJ26A074

理由で解く 柔道整復師

QJ26A074 生理学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問74
問題
受容体が細胞内にあるホルモンはどれか。
選択肢
1 インスリン
2 サイロキシン
3 アンギオテンシンII
4 プロラクチン
解答
正解2(サイロキシン)
解説

受容体が細胞内(細胞質・核内)にあるのはサイロキシンである。細胞膜を通り抜けられる脂溶性ホルモンだけが、この様式をとることができる。

ホルモンは受容体の場所で大きく二つに分かれる。ペプチド・蛋白質ホルモンやカテコールアミンは水溶性で細胞膜を通れないため、細胞膜表面の受容体に結合し、cAMPやCa²⁺などのセカンドメッセンジャーを介して既存の酵素を活性化する。作用は速く現れるが持続は短い。これに対しステロイドホルモンと甲状腺ホルモンは脂溶性で、細胞膜を通過して細胞質または核内の受容体に結合する。ホルモン-受容体複合体はDNAの特定の領域に結合して遺伝子の転写を調節し、新たに蛋白質を作らせることで効果を出す。そのため作用が現れるまでに時間がかかるが、持続は長い。サイロキシン(T4)はチロシンにヨウ素が結合したアミン系ホルモンだが、性質は脂溶性で核内受容体を使うという点が典型的な引っかけになる。「ステロイドと甲状腺ホルモンだけが細胞内受容体」と例外として覚えるのが確実である。

✗ 1. 誤り
インスリン
ペプチドホルモンであり、細胞膜にあるインスリン受容体(チロシンキナーゼ型)に結合する。膜を通過できないため細胞内受容体は使わない。
✓ 2. 正しい
サイロキシン
脂溶性で細胞膜を通過し、核内受容体に結合してDNAの転写を調節する。効果の発現は遅いが持続的で、基礎代謝を全身で底上げする作用と合致している。
✗ 3. 誤り
アンギオテンシンII
ペプチドホルモンで、細胞膜のAT₁受容体(G蛋白質共役型)に結合する。血管平滑筋を収縮させ、副腎皮質からのアルドステロン分泌を促す。
✗ 4. 誤り
プロラクチン
下垂体前葉から出る蛋白質ホルモンで、乳腺細胞の細胞膜受容体に結合し、細胞内の情報伝達系を介して乳汁産生を促す。
ポイント
  • 細胞内(細胞質・核内)に受容体をもつのはステロイドホルモンと甲状腺ホルモンだけ。いずれも脂溶性。
  • ペプチド・蛋白質ホルモンとカテコールアミンは水溶性で、細胞膜受容体+セカンドメッセンジャーを使う。
  • 細胞内受容体型は転写を調節して新たな蛋白質を作らせるため、作用の発現は遅く持続は長い。膜受容体型はその逆。
  • サイロキシンはアミン系だが脂溶性で核内受容体を使う。ここが最頻出の引っかけ。
  • ステロイドホルモンには副腎皮質ホルモン(コルチゾール、アルドステロン)と性ホルモン、活性型ビタミンDが含まれる。
比較表
ホルモン化学的性質受容体の場所作用の速さ・持続
インスリンペプチド(水溶性)細胞膜(チロシンキナーゼ型)速い・短い
サイロキシンアミン系だが脂溶性核内遅い・長い
アンギオテンシンIIペプチド(水溶性)細胞膜(G蛋白質共役型)速い・短い
プロラクチン蛋白質(水溶性)細胞膜速い・短い
ステロイドホルモン(参考)脂溶性細胞質・核内遅い・長い
アドレナリン(参考)カテコールアミン(水溶性)細胞膜速い・短い
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