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理由で解く 柔道整復師

QJ26A064 生理学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問64
問題
健常者において心臓の歩調とりとして働いている部位はどれか。
選択肢
1 心房筋
2 洞房結節
3 ヒス束
4 房室結節
解答
正解2(洞房結節)
解説

心臓を規則正しく打たせている歩調とり(ペースメーカー)は洞房結節である。刺激伝導系のなかで自動的に興奮する頻度が最も高いためである。

心臓は神経の支配を断っても拍動を続ける自動能をもつ。興奮は洞房結節 → 心房筋 → 房室結節 → ヒス束 → 左脚・右脚 → プルキンエ線維 → 心室筋の順に伝わる。神経の影響を除いた固有の自動能の頻度は、洞房結節が毎分およそ100回、房室結節が40〜60回、ヒス束から下では20〜40回で、最も速いものが他より先に興奮させてしまうため、健常者では常に洞房結節がリズムを決めている(洞調律)。洞房結節は右心房の上大静脈開口部付近にあり、交感神経で促進され、迷走神経(副交感神経)で抑制されることによって心拍数が調節される。安静時の心拍数が毎分60〜80回に収まっているのは、この迷走神経の持続的な緊張(迷走神経緊張)によるブレーキがかかった結果であり、アトロピン投与などで迷走神経を遮断すると心拍数は固有の頻度に近づいて増加する。洞房結節が働かなくなった場合は下位の部位が代わりに歩調とりとなるが、頻度が低いため徐脈となる。

✓ 2. 正しい
洞房結節
刺激伝導系の最上位に位置し、他のどの部位よりも高い頻度で自発的に脱分極するため、常に先んじて心臓全体を興奮させる歩調とりとなる。なお安静時心拍数が毎分60〜80回であることは固有自動能の頻度そのものではなく、洞房結節本来のリズム(毎分およそ100回)に迷走神経の抑制が加わった結果である(迷走神経を遮断すれば心拍数は増加する)。ここから始まる興奮が心房全体に広がり、心電図ではP波として現れる。
✗ 1. 誤り
心房筋
血液を心室へ送り込む作業心筋(固有心筋)であり、正常では自動能を示さない。洞房結節から伝わってきた興奮をギャップ結合を介して受け取り、心房全体が一体となって収縮する。
✗ 3. 誤り
ヒス束
房室結節に続き、心房と心室を電気的につなぐ唯一の通路である。自動能はもつが頻度が低く(毎分20〜40回程度)、上位の洞房結節が働いている限り歩調とりにはならない。
✗ 4. 誤り
房室結節
心房から心室への興奮の関門で、伝導速度が刺激伝導系のなかで最も遅い。この遅れによって心房が収縮し終えてから心室が収縮でき、心室への血液充満が確保される。自動能の頻度は洞房結節に次ぐ二番手で、洞房結節が止まったときの控えとして働く。
ポイント
  • 刺激伝導系の順序:洞房結節 → 房室結節 → ヒス束 → 左脚・右脚 → プルキンエ線維
  • 固有自動能の頻度:洞房結節(約100/分)> 房室結節(40〜60/分)> ヒス束以下(20〜40/分)。最も速いものが歩調とりになるのが原則。
  • 安静時心拍数60〜80回/分は、洞房結節本来のリズムに迷走神経の持続的な緊張がブレーキとしてかかった結果。固有自動能(約100/分)と実際の心拍数を混同しない。アトロピン投与や心臓移植後(除神経)に心拍数が上がるのはこのため。
  • 伝導速度が最も遅いのは房室結節。この房室間の時間差が心房収縮→心室充満を可能にする。
  • 洞房結節は右心房・上大静脈開口部付近。交感神経で心拍数増加、迷走神経で減少という二重支配を受ける。
  • 伝導速度が最も速いのはプルキンエ線維で、心室全体をほぼ同時に興奮させ、効率のよい駆出を可能にする。
比較表
部位位置固有自動能の頻度役割
洞房結節右心房、上大静脈開口部付近約100回/分(最高)
※安静時心拍数60〜80回/分は迷走神経の抑制がかかった結果
正常の歩調とり(ペースメーカー)
心房筋心房壁なし(作業心筋)収縮して心室へ血液を送る
房室結節心房中隔下部約40〜60回/分伝導が最も遅く、房室間の遅延をつくる
ヒス束心室中隔上部約20〜40回/分心房と心室を結ぶ唯一の伝導路
プルキンエ線維心室内膜側約20〜40回/分伝導速度が最速、心室を一斉に興奮させる
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