学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §44 整形外科学 / QJ26A029

理由で解く 柔道整復師

QJ26A029 必修問題

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問29
問題
膝の嵌頓症状がみられないのはどれか。
選択肢
1 離断性骨軟骨炎
2 滑膜ヒダ障害
3 半月板損傷
4 前十字靱帯断裂
解答
正解4(前十字靱帯断裂)
解説

この設問は「嵌頓症状がみられないもの」を選ぶ。嵌頓症状は関節内で何かが挟まって膝が伸びきらなくなる現象であり、前十字靱帯断裂は単独では挟まる物体を作らないため、答えは4。

嵌頓症状(ロッキング)は、関節内遊離体・断裂した半月板片・肥厚した滑膜ヒダなどが大腿骨と脛骨(あるいは膝蓋大腿関節)の間へ入り込み、突然伸展が制限されて膝が伸びきらなくなるもの。したがって「関節内に挟まりうる固形物ができるか」を基準に考えれば、どの疾患で起こるかは機序から導ける。離断性骨軟骨炎は軟骨下骨ごと剥離した骨軟骨片が関節ネズミとなり、半月板損傷はとくにバケツ柄状断裂で断裂片が顆間部へ入り込む。滑膜ヒダ障害(タナ障害)は肥厚した内側滑膜ヒダが大腿骨内顆と膝蓋骨の間に挟まる。一方、前十字靱帯断裂で前面に出るのは受傷時の断裂音(ポップ音)、数時間以内に生じる関節血腫、そして膝崩れ(giving way)であり、ラックマンテスト・前方引き出しテスト・Nテスト(pivot shift)が陽性となる。なお前十字靱帯断裂に半月板損傷を合併すれば嵌頓症状が出ることはあるが、それは合併損傷による所見であって靱帯断裂そのものの症状ではない。

✓ 4. これが答え(嵌頓症状はみられない)
前十字靱帯断裂
前十字靱帯は脛骨の前方移動と回旋を制動する靱帯であり、断裂しても関節内に挟まる固形物が生じるわけではない。そのため機械的な引っかかりではなく、支えを失うことによる不安定性が症状の主体となる。受傷時のポップ音、急速に膨らむ関節血腫、階段や方向転換でがくっと崩れる膝崩れが典型で、ラックマンテストが最も感度の高い徒手検査。膝崩れを繰り返すと二次的に半月板や軟骨を傷めるため、不安定感を訴える段階で整形外科での評価につなげたい。
✗ 1. 嵌頓症状がみられる(答えではない)
離断性骨軟骨炎
関節軟骨とその下の骨が血行障害などにより部分的に壊死・分離し、進行すると骨軟骨片が関節内に遊離して関節ネズミ(関節遊離体)となる。この遊離体が関節面の間に迷い込むと嵌頓症状を生じ、膝が急に動かなくなったり、その後ふっと戻ったりする。好発は大腿骨内顆外側部で、スポーツ活動をする若年者に多い。したがって嵌頓症状はみられ、設問の条件に当てはまらない。
✗ 2. 嵌頓症状がみられる(答えではない)
滑膜ヒダ障害
胎生期の関節腔の隔壁が遺残した滑膜ヒダ、とくに内側膝蓋滑膜ヒダ(タナ)が、繰り返す屈伸で炎症を起こして肥厚・線維化し、大腿骨内顆と膝蓋骨の間に挟まる。膝蓋骨内側の疼痛とともに屈伸時の弾発音(クリック)や引っかかり感を生じ、嵌頓症状を呈しうる。若年女性やスポーツ選手に多い。よって設問の条件に当てはまらない。
✗ 3. 嵌頓症状がみられる(答えではない)
半月板損傷
嵌頓症状の代表的な原因。断裂した半月板片が大腿骨顆部と脛骨の間に挟まり込むと膝が伸びきらなくなり、とくにバケツ柄状断裂では顕著なロッキングを起こす。マックマレーテストやアプレー圧迫テストが陽性となり、関節裂隙に圧痛を認める。膝が伸びない状態が続くときは無理に伸展を試みず、安静と固定のうえで画像評価につなげる。よって設問の条件に当てはまらない。
ポイント
  • 嵌頓症状(ロッキング)は「関節内に挟まる固形物ができるか」で判断する。遊離体・半月板断裂片・肥厚した滑膜ヒダが代表。
  • 離断性骨軟骨炎(関節ネズミ)、滑膜ヒダ障害(タナ障害)、半月板損傷はいずれも嵌頓症状をきたす。
  • 前十字靱帯断裂の主症状はポップ音・関節血腫・膝崩れ(giving way)で、ラックマンテスト、前方引き出しテスト、Nテストが陽性。関節内に挟まる構造物ができるわけではないため、嵌頓症状は主症状にならない。
  • 前十字靱帯断裂に半月板損傷を合併すれば嵌頓症状は出うるが、それは合併損傷による所見。
  • 膝が伸びきらない状態が続く場合は無理に伸ばそうとせず、安静・固定のうえ整形外科での画像評価につなげる。
比較表
疾患嵌頓症状挟まるもの/前面に出る所見
離断性骨軟骨炎みられる剥離した骨軟骨片(関節ネズミ)。好発は大腿骨内顆外側部
滑膜ヒダ障害みられる肥厚した内側膝蓋滑膜ヒダ。屈伸時のクリックと膝蓋骨内側の疼痛
半月板損傷みられる断裂した半月板片(バケツ柄状断裂で顕著)。マックマレーテスト陽性
前十字靱帯断裂みられない挟まる構造物がなく嵌頓症状は主症状にならない。ポップ音・関節血腫・膝崩れ、ラックマンテスト陽性
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。