学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §17 肩関節烏口下脱臼の診察および整復 / QJ26A025

理由で解く 柔道整復師

QJ26A025 必修問題

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問25
問題
肩関節前方脱臼の症状で誤っているのはどれか。
選択肢
1 持続性疼痛を訴える。
2 上腕軸は外転内旋位を呈する。
3 肩峰下に骨頭を触知する。
4 三角筋胸筋三角は消失する。
解答
正解3(肩峰下に骨頭を触知する。)
解説

肩関節前方(烏口下)脱臼では骨頭が前方へ移動するため、肩峰の下は空虚となり骨頭は触れない。したがって「肩峰下に骨頭を触知する」が誤りで、正答は3。

外転・外旋・伸展が強制されると関節包の前下方が破綻し、骨頭が関節窩から前方へ滑り出して烏口突起の下にとどまる。所見はすべて「骨頭が抜けた跡」と「骨頭が入り込んだ先」の二つから説明できる。抜けた跡である肩峰下は空になるので、三角筋が落ち込んで肩の丸みが消え、肩峰が角ばって突出する。入り込んだ先では、鎖骨・三角筋・大胸筋に囲まれた三角筋胸筋三角(モーレンハイム窩)が骨頭で埋まって消失し、烏口突起の下に骨頭を触れる。上肢は軽度外転・内旋位に固定され、動かそうとするとばね様の抵抗(弾発性固定)を示し、整復されるまで疼痛が続く。

✓ 3. これが答え(誤り)
肩峰下に骨頭を触知する。
骨頭は前方の烏口突起下へ移動しているため、肩峰下は空虚となり陥凹として触れる。骨頭を触知するのは肩峰下ではなく烏口突起の下である。
✗ 1. 正しい所見(答えではない)
持続性疼痛を訴える。
脱臼は自然に整復されないため、関節包・靱帯が伸ばされたままとなり疼痛が続く。整復されると疼痛は速やかに軽減するので、疼痛の変化は整復の目安にもなる。
✗ 2. 正しい所見(答えではない)
上腕軸は外転内旋位を呈する。
骨頭が烏口突起下に留まるため、上肢は軽度外転・内旋位で弾発性固定を示す。健側の肢位と見比べると差が分かりやすい。
✗ 4. 正しい所見(答えではない)
三角筋胸筋三角は消失する。
前方へ移動した骨頭が鎖骨・三角筋・大胸筋に囲まれたくぼみ(モーレンハイム窩)を埋めるため、この三角は膨隆して消失する。
ポイント
  • 発生機序:肩の外転・外旋・伸展の強制で関節包前下方が破綻し、骨頭は烏口突起下へ(烏口下脱臼が最多)。
  • 「抜けた跡」の所見:三角筋部の平坦化、肩峰の角状突出、肩峰下の空虚。
  • 「入り込んだ先」の所見:烏口突起下に骨頭を触知、三角筋胸筋三角の消失。
  • 肢位は軽度外転・内旋位で弾発性固定、疼痛は持続する。
  • 腋窩神経障害(三角筋の収縮・上腕外側の知覚)や大結節骨折の合併を、整復の前後で必ず確認する。
比較表
観察点肩関節前方(烏口下)脱臼でみられる所見
上腕軸の肢位軽度外転・内旋位、弾発性固定
肩の輪郭三角筋部が平坦化し、肩峰が角状に突出
肩峰下空虚(骨頭は触れない)
骨頭の位置烏口突起の下に触知
三角筋胸筋三角骨頭で埋まり消失
疼痛整復されるまで持続する
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