学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §8 定型的鎖骨骨折の固定 / QJ26A021

理由で解く 柔道整復師

QJ26A021 必修問題

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問21
問題
鎖骨骨折の固定法で誤っているのはどれか。
選択肢
1 背8字帯固定
2 セイヤー絆創膏固定
3 ハンギングキャスト固定
4 デゾー包帯固定
解答
正解3(ハンギングキャスト固定)
解説

鎖骨骨折の固定は「両肩を後方に引いて胸を張らせ、遠位骨片の下垂と短縮を防ぐ」のが原則。ハンギングキャスト固定は上腕骨骨幹部骨折に対して腕の自重で牽引をかける方法であり、鎖骨骨折の固定法ではない。正答は3。

鎖骨は胸骨と肩甲骨をつなぐ「つっぱり棒」の役割を持つ。中央1/3で折れると、近位骨片は胸鎖乳突筋に引かれて上方へ、遠位骨片は上肢の重みと大胸筋・小胸筋に引かれて下内方へずれ、骨折部は短縮しながら上方凸に変形する。固定の狙いはこの転位の逆を作ることであり、背8字帯・セイヤー絆創膏・デゾー包帯はいずれも肩を後方へ引く、あるいは上腕を胸壁に保持して遠位骨片の下垂を止めるという同じ目的に沿っている。これに対しハンギングキャストは上腕にギプスを巻いてその重さで骨折部を引き離す方法で、目的が「牽引」である点が根本的に違う。固定法を丸暗記せず「何を防ぎたい固定か」で束ねると取り違えなくなる。

✓ 3. これが答え(鎖骨骨折の固定法ではない)
ハンギングキャスト固定
上腕にギプスを巻き、その自重を長軸方向の牽引力として使う固定法で、適応は上腕骨骨幹部骨折。短縮転位を防ぎたい鎖骨骨折の目的とは方向性が逆であり、鎖骨骨折の固定法として挙げられない。
✗ 1. 鎖骨骨折の固定法(答えではない)
背8字帯固定
両腋窩から背部で8の字を描くように巻き、両肩を後方へ引いて胸を張らせる。鎖骨骨折の代表的な固定法で、遠位骨片の下垂と骨折部の短縮を抑える。
✗ 2. 鎖骨骨折の固定法(答えではない)
セイヤー絆創膏固定
3本の絆創膏を上腕・体幹・肩へ組み合わせて貼り、遠位骨片を上外方へ引き上げつつ上肢を吊り上げる。鎖骨骨折に用いられる古典的な固定法である。
✗ 4. 鎖骨骨折の固定法(答えではない)
デゾー包帯固定
上腕を胸壁に密着させて肩関節の動きを抑える包帯法。鎖骨骨折や肩関節脱臼の固定に用いられ、上肢の重みが骨折部に及ぶのを防ぐ。
ポイント
  • 鎖骨骨折の固定の原理は「胸を張らせて遠位骨片の下垂・短縮を防ぐ」の一点に集約される。
  • 近位骨片は胸鎖乳突筋に引かれて上方、遠位骨片は上肢の重みで下内方へ転位する。
  • 背8字帯・セイヤー絆創膏・デゾー包帯=鎖骨骨折で使う固定法。
  • ハンギングキャスト=上腕骨骨幹部骨折。ギプスの自重で牽引をかける方法。
  • 固定中は毎回、橈骨動脈の拍動・手指の色調・しびれを確認し、腋窩の圧迫を避けるよう当て綿を調整する。
比較表
固定法主な適応ねらい
背8字帯固定鎖骨骨折両肩を後方に引き、短縮・下垂を防ぐ
セイヤー絆創膏固定鎖骨骨折遠位骨片を上外方へ引き上げ、上肢を吊る
デゾー包帯固定鎖骨骨折・肩関節脱臼など上腕を胸壁に固定し肩の動きを抑える
ハンギングキャスト固定上腕骨骨幹部骨折ギプスの自重で長軸方向に牽引する
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