学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §37 生理学 / QJ26A005

理由で解く 柔道整復師

QJ26A005 必修問題

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問5
問題
ATP を必要とする物質移動はどれか。
選択肢
1 ろ過
2 浸透
3 単純拡散
4 能動輸送
解答
正解4(能動輸送)
解説

ATPのエネルギーを使い、濃度勾配(電気化学的勾配)に逆らって物質を運ぶのが能動輸送である。

細胞膜を介した物質移動は、エネルギーを必要としない受動輸送と、必要とする能動輸送に大別される。受動輸送は濃度差や圧力差という「坂道」を下る移動で、単純拡散・促通(促進)拡散・浸透・ろ過がこれに当たる。一方、能動輸送は坂道を上る移動なので、輸送体(ポンプ)がATPを分解してその差を生み出す必要がある。代表がNa⁺-K⁺ポンプ(Na⁺-K⁺-ATPase)で、ATP1分子あたり細胞内のNa⁺を3個汲み出しK⁺を2個取り込み、細胞内外のイオン差=静止膜電位の土台をつくる。なお、輸送体そのものはATPを分解せず、ポンプが作ったNa⁺勾配を借りて別の物質を勾配に逆らわせる仕組みを二次性能動輸送といい、ATPは間接的に使われる(腎尿細管でのグルコース・アミノ酸の再吸収など)。判断の軸はただ一つ、「濃度勾配に逆らうかどうか」である。

✓ 4. 正しい
能動輸送
輸送体がATPを直接分解して濃度勾配に逆らわせるのが一次性能動輸送で、Na⁺-K⁺ポンプ、H⁺-K⁺ポンプ、Ca²⁺ポンプが代表。腎尿細管でのグルコース・アミノ酸の再吸収はポンプが作ったNa⁺勾配を利用する二次性能動輸送(Na⁺共輸送)で、ATPを間接的に使う。いずれも最終的にATPを必要とする点で受動輸送と異なる。
✗ 1. 誤り
ろ過
静水圧の差によって水と溶質が膜を通り抜ける現象。腎糸球体のろ過は心臓が生み出す血圧が原動力であり、細胞が膜でATPを消費して行う移動ではない。
✗ 2. 誤り
浸透
半透膜を挟んだ浸透圧の差に従って水が移動する受動現象で、ATPは不要。
✗ 3. 誤り
単純拡散
濃度の高い側から低い側へ勾配に従って広がる移動。O₂やCO₂の膜通過が典型で、ATPは不要。
ポイント
  • ATPが要るのは能動輸送だけ。判断基準は「濃度勾配に逆らうか否か」
  • 受動輸送=単純拡散・促通拡散・浸透・ろ過。いずれもATP不要
  • 促通拡散は輸送体を使うが勾配に従うためATPは不要(グルコース輸送体GLUTなど)
  • 一次性能動輸送=輸送体自体がATPを分解する。Na⁺-K⁺ポンプ、H⁺-K⁺ポンプ、Ca²⁺ポンプ
  • Na⁺-K⁺ポンプはNa⁺3個を汲み出しK⁺2個を取り込み、静止膜電位の土台をつくる
  • ポンプが作ったNa⁺勾配を利用する二次性能動輸送(Na⁺共輸送。腎尿細管のグルコース・アミノ酸再吸収)ではATPを間接的に使う
比較表
移動様式駆動力ATP
ろ過静水圧の差不要腎糸球体のろ過、毛細血管からの水の移動
浸透浸透圧の差不要赤血球の膨張・収縮
単純拡散濃度勾配不要O₂・CO₂の膜通過
促通拡散濃度勾配+輸送体不要グルコースの細胞内取り込み(GLUT)
能動輸送(一次性)輸送体自身がATPを分解して勾配に逆らう直接必要Na⁺-K⁺ポンプ、H⁺-K⁺ポンプ、Ca²⁺ポンプ
能動輸送(二次性)ポンプが作ったNa⁺勾配を利用間接的に必要腎尿細管でのグルコース・アミノ酸の再吸収(Na⁺共輸送)
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