学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ25P082

理由で解く 柔道整復師

QJ25P082 柔道整復理論

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問82
問題
橈骨近位端骨折に合併しにくいのはどれか。
選択肢
1 上腕骨内顆骨折
2 上腕骨小頭骨折
3 肘頭骨折
4 前腕両骨後方脱臼
解答
正解1(上腕骨内顆骨折)
解説

橈骨近位端骨折は手をついた際の肘外反強制と長軸方向の軸圧で発生する。合併損傷の中心は上腕骨小頭骨折・肘頭骨折・前腕両骨後方脱臼・内側側副靱帯損傷であり、上腕骨内顆骨折は合併損傷として挙げられない。

手をついて転倒すると、肘関節には外反を強制する力と橈骨長軸に沿った軸圧が同時に加わる。橈骨頭は上腕骨小頭に強く突き上げられて骨折し、このとき相手側である上腕骨小頭にも骨折・骨軟骨損傷が生じうる。外反に伴って内側では内側側副靱帯が引き伸ばされて損傷し、後方要素では肘頭骨折や前腕両骨後方脱臼を伴うことがある。つまり合併損傷は「橈骨頭が突き上げる先(外側の上腕骨小頭)」「押し出される方向(後方の肘頭・後方脱臼)」「引き伸ばされる内側(内側側副靱帯)」の3方向で整理でき、内側で問題になるのは骨よりも靱帯である。一方、上腕骨内顆骨折はもともと発生頻度の低い骨折で、肘頭による滑車の突き上げや前腕屈筋群の牽引によって生じるとされる別機序の損傷であり、橈骨近位端骨折の合併損傷としては挙げられない。

✓ 1. これが答え(合併しにくい)
上腕骨内顆骨折
橈骨近位端骨折の合併損傷の中心は、橈骨頭が突き上げる相手である上腕骨小頭、後方要素である肘頭と前腕両骨後方脱臼、そして伸張される内側側副靱帯である。上腕骨内顆骨折は肘頭による滑車の突き上げや前腕屈筋群の牽引で生じる別機序のまれな骨折で、この骨折の合併損傷としては挙げられない。内側で損傷しやすいのは骨ではなく内側側副靱帯である。
✗ 2. 合併しやすい(答えではない)
上腕骨小頭骨折
橈骨頭が突き上げる相手が上腕骨小頭であり、同じ衝突で小頭側にも骨折や骨軟骨損傷が生じる。橈骨頭骨折と対で起こる代表的合併損傷である。
✗ 3. 合併しやすい(答えではない)
肘頭骨折
転倒時には肘後方への直達外力や上腕三頭筋の牽引が同時に加わりうるため、肘頭骨折を合併することがある。肘関節周囲の複合損傷として想定しておく。
✗ 4. 合併しやすい(答えではない)
前腕両骨後方脱臼
肘伸展位で手をついた際、前腕骨が後方へ脱臼するのと同じ機序で橈骨頭が骨折する。脱臼骨折として合併する頻度が高い組合せである。
ポイント
  • 橈骨近位端骨折の機序=手をついた際の外反強制+橈骨長軸の軸圧。
  • 合併損傷は3方向で整理する:突き上げる先=上腕骨小頭骨折/押し出される後方=肘頭骨折・前腕両骨後方脱臼/引き伸ばされる内側=内側側副靱帯損傷。
  • 内側で損傷しやすいのは骨ではなく内側側副靱帯。上腕骨内顆骨折は合併損傷に挙げられない。
  • 上腕骨内顆骨折自体がまれで、肘頭による滑車の突き上げや前腕屈筋群の牽引で生じる別機序の骨折とされる。
  • 肘関節の複合損傷が疑われる場合は無理に可動域検査を繰り返さず、固定して医師の診察につなぐ。
比較表
部位橈骨近位端骨折の際に加わる力合併
上腕骨小頭橈骨頭による突き上げ(軸圧)しやすい
肘頭後方への直達外力・上腕三頭筋の牽引しやすい
肘関節(前腕両骨後方脱臼)伸展位での軸圧しやすい
内側側副靱帯外反による伸張しやすい(骨ではなく靱帯)
上腕骨内顆肘頭による滑車の突き上げ・前腕屈筋群の牽引(別機序)合併損傷として挙げられない
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