学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §6 総論 骨折 / QJ25P069

理由で解く 柔道整復師

QJ25P069 柔道整復理論

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問69
問題
骨損傷における急性塑性変形で正しいのはどれか。
選択肢
1 小児の長管骨にみられる。
2 骨挫傷が原因である。
3 骨軸に平行な骨折線を認める。
4 骨の海綿質部分に発生する。
解答
正解1(小児の長管骨にみられる。)
解説

急性塑性変形は、小児の長管骨が骨折線を生じないまま弓状に曲がったまま戻らなくなる損傷である。小児骨特有の柔軟性と厚い骨膜が背景にある。

小児の骨は有機質(コラーゲン)の割合が高く弾力に富み、骨膜が厚く強靱である。長軸方向に力が加わると、骨は多数の微小骨折を内部に生じながら全体としてたわみ、力を除いても元の形に戻らない。これが急性塑性変形(弯曲骨折)で、X線では明らかな骨折線を認めないのに骨の弯曲だけがみられるため見落としやすい。前腕の尺骨や下腿の腓骨など、2本並んだ骨の一方に起こることが多く、他方の完全骨折やモンテギア骨折に合併して回旋・回内外制限の原因となる。若木骨折や骨膜下骨折とともに、小児にしか起こらない骨折形態としてまとめて理解しておきたい。

✓ 1. 正しい
小児の長管骨にみられる。
骨の弾力性が高く骨膜が厚い小児だからこそ、折れきらずに曲がったままになる。尺骨・腓骨など長管骨の骨幹部が典型的な発生部位である。
✗ 2. 誤り
骨挫傷が原因である。
骨挫傷は海綿質の微小骨折と骨髄内出血を指す別の病態で、変形は残さない。急性塑性変形の本態は長軸方向の力による皮質骨のたわみである。
✗ 3. 誤り
骨軸に平行な骨折線を認める。
肉眼的・X線的な骨折線を認めないことが本損傷の最大の特徴である。骨折線がないため単なる打撲と誤られやすく、健側と見比べて弯曲の有無を確認する必要がある。
✗ 4. 誤り
骨の海綿質部分に発生する。
たわみが生じるのは長管骨骨幹部の皮質骨である。海綿質に起こるのは陥凹骨折や圧迫骨折であり、発生部位が異なる。
ポイント
  • 急性塑性変形(弯曲骨折)=小児の長管骨が骨折線なしに弓状に変形して戻らない損傷。
  • 背景は小児骨の弾力性(有機質が多い)と厚く強靱な骨膜。
  • 好発は尺骨・腓骨。他方の骨の完全骨折やモンテギア骨折に合併しやすい。
  • X線で骨折線が写らないため、健側と比較して弯曲と機能制限(前腕回内外など)を確認する。
  • 小児特有の骨折形態:若木骨折・急性塑性変形・骨膜下骨折・骨端線損傷をセットで覚える。
比較表
小児特有の骨折骨折線変形部位
急性塑性変形認めない弓状の弯曲が残る長管骨骨幹部(尺骨・腓骨)
若木骨折不完全(一側の皮質のみ)屈曲変形長管骨骨幹部
骨膜下骨折あり(骨膜は連続)転位はごく軽度長管骨
骨端線損傷骨端線に一致成長障害の危険骨端部
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