学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 整形外科学 ▸ §23 部位別各論 下腿・足関節 / QJ25P064
理由で解く 柔道整復師
アキレス腱周囲炎は、腱そのものを包む結合組織(パラテノン)が繰り返す摩擦で炎症を起こす障害です。痛みと腫脹が出るのは踵骨付着部ではなく、そこより数センチ近位の腱周囲であるという点が、他の踵部痛と区別する鍵になります。
アキレス腱には腱鞘がなく、代わりにパラテノンという疎な結合組織が腱を包み、滑走を助けています。ランニングや跳躍の反復、硬い路面、急な練習量の増加といった負荷が加わると、この層が腱と擦れて炎症・肥厚を起こし、運動時痛と圧痛、そして腱を動かしたときの軋轢音(捻髪音)が生じます。下腿三頭筋の柔軟性低下があると足関節の背屈が制限され、走行のたびに腱へのストレスが増すため、背屈制限は所見であると同時に増悪因子でもあります。足部の過回内など下肢アライメントの偏りも腱に捻れの力を加えて発症を後押しします。したがって対応は、患部の負荷を減らしつつ下腿三頭筋のストレッチで背屈可動域を取り戻し、足部アライメントに応じた靴や足底挿板を検討し、練習量を段階的に戻すという流れになります。痛みの部位が付着部そのものであれば付着部症や滑液包炎など別の病態を考え、腱に陥凹を触れる、つま先立ちができないといった所見があれば断裂を疑って医療機関へつなぎます。
| 病態 | 圧痛の中心 | 特徴的な所見 |
|---|---|---|
| アキレス腱周囲炎 | 付着部より近位の腱周囲 | 運動時痛、軋轢音、背屈制限、過回内などのアライメント異常 |
| アキレス腱付着部症 | 踵骨付着部そのもの | 付着部の骨棘形成、靴の踵での圧迫で増悪 |
| 踵骨後部滑液包炎 | アキレス腱と踵骨のあいだ | 局所の腫脹、ハグルンド変形を伴うことがある |
| アキレス腱断裂 | 付着部の数cm上方に陥凹を触知 | トンプソン試験陽性、つま先立ち不能、受傷時の断裂音 |
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