学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §10 疾患別各論 非感染性軟部・骨関節疾患 / QJ25P059

理由で解く 柔道整復師

QJ25P059 整形外科学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問59
問題
関節リウマチの脱臼・変形でないのはどれか。
選択肢
1 肘関節の内反変形
2 尺骨頭の背側亜脱臼
3 股関節の中心性脱臼
4 外反母趾変形
解答
正解1(肘関節の内反変形)
解説

関節リウマチの変形は「滑膜炎が関節包・靱帯・腱を緩ませ、そこに筋力と荷重が加わって崩れる」という共通の成り立ちで説明できます。肘で起こるのは屈曲拘縮であり、内反変形は上腕骨顆上骨折の変形治癒に代表される外傷後の変形です。

増殖した滑膜(パンヌス)が軟骨と骨、さらに関節を支える靱帯や腱を侵すため、関節は支持性を失い、日常的に働く力の方向へ崩れていきます。手関節では遠位橈尺関節の支持機構が壊れて尺骨頭が背側へ突出し(尺骨頭症候群)、手指は尺側偏位・スワンネック変形・ボタン穴変形をきたします。頸椎では環軸椎亜脱臼、股では臼底が薄くなって骨頭が骨盤内へ入り込む寛骨臼突出、膝では外反変形、足では外反母趾・槌趾・開張足が典型です。肘関節は滑膜炎の好発部位ですが、生じるのは伸展制限を伴う屈曲拘縮であり、内反への角状変形は起こしません。ここで柔道整復の実務上とりわけ重要なのが頸椎の環軸椎亜脱臼です。横靱帯が緩んで環椎が前方へずれると歯突起が脊髄を圧迫しうるため、関節リウマチと分かった時点で頸部の急激な伸展・回旋やスラスト操作は行いません。頸部痛や後頭部痛、上肢のしびれ、手指の巧緻運動障害(ボタンかけ・箸の使いにくさ)、歩行の不安定さを認めた場合は施術を進めず、頸椎の画像評価を医師に依頼します。こうした安全確認を前提としたうえで、変形が進む前の段階から関節保護の指導と可動域・筋力の維持を行い、薬物療法を担う主治医との連携を続けることが、機能を守るうえで最も効果的です。

✓ 1. これは当てはまらない(正答)
肘関節の内反変形
内反肘(銃剣状変形)は、小児の上腕骨顆上骨折が内反位で変形治癒した結果として生じる代表的な外傷後変形です。関節リウマチの肘に起こるのは滑膜炎と関節破壊による屈曲拘縮(伸展制限)で、角状の内反変形ではありません。「内反肘といえば顆上骨折後」と結びつけておくと迷いません。
✗ 2. 当てはまる(答えではない)
尺骨頭の背側亜脱臼
遠位橈尺関節の滑膜炎で三角線維軟骨複合体や靱帯が破綻し、尺骨頭が背側へ突出して押すと沈む所見(ピアノキーサイン)を示します。尺骨頭症候群と呼ばれ、この部で伸筋腱が擦れて断裂する原因にもなります。
✗ 3. 当てはまる(答えではない)
股関節の中心性脱臼
臼底の骨が滑膜炎で菲薄化し、荷重によって大腿骨頭が骨盤内方へ入り込む寛骨臼突出(臼底突出)を生じます。骨頭が中心方向へ移動するため中心性の亜脱臼・脱臼と表現され、外傷による中心性脱臼とは成因が異なるものの、リウマチでみられる変形として挙げられます。
✗ 4. 当てはまる(答えではない)
外反母趾変形
前足部は関節リウマチの好発部位で、中足趾節関節の破壊により外反母趾、槌趾、開張足、中足骨頭の底側突出による有痛性胼胝がそろって現れます。足底の疼痛は歩行能力に直結するため、履物や足底挿板の工夫が有用です。
ポイント
  • 関節リウマチの変形は、滑膜炎による支持組織の破綻+力学的負荷という一つの機序で説明できる。
  • 手関節は尺骨頭の背側亜脱臼、手指はスワンネック・ボタン穴・尺側偏位が典型。
  • 股は寛骨臼突出(中心性の移動)、膝は外反変形、足は外反母趾・槌趾・開張足。
  • 肘に生じるのは屈曲拘縮。内反肘は小児の上腕骨顆上骨折後の変形治癒が代表。
  • 関節リウマチでは環軸椎亜脱臼を念頭に置き、頸部の急激な伸展・回旋やスラスト操作は行わない。
  • 頸部痛・上肢のしびれ・手指の巧緻運動障害を認めた場合は施術を進めず、頸椎の画像評価を医師に依頼する。
比較表
部位関節リウマチで典型的な変形
頸椎環軸椎亜脱臼(頸部の急激な伸展・回旋やスラスト操作は行わない)
屈曲拘縮(内反変形は典型的でない)
手関節尺骨頭の背側亜脱臼、手根の尺側偏位・掌側亜脱臼
手指スワンネック変形、ボタン穴変形、尺側偏位、母指Z変形
寛骨臼突出(中心性の亜脱臼・脱臼)
外反変形
外反母趾、槌趾、開張足
(参考)内反肘小児の上腕骨顆上骨折後の変形治癒
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