学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §12 主要な疾患 消化器疾患 / QJ25P037

理由で解く 柔道整復師

QJ25P037 一般臨床医学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問37
問題
食道静脈瘤をきたす疾患はどれか。
選択肢
1 膵炎
2 肝硬変
3 胆石症
4 逆流性食道炎
解答
正解2(肝硬変)
解説

肝硬変では肝内の血流抵抗が上がって門脈圧が亢進し、迂回路として食道粘膜下の静脈が拡張して食道静脈瘤を形成する。正答は2。

腸管や脾臓からの静脈血は門脈に集まって肝臓を通る。肝硬変では線維化と再生結節によって肝内の血管が圧迫・狭窄され、門脈から肝静脈へ抜ける流れの抵抗が上がるため門脈圧が亢進する。行き場を失った血液は、門脈系と大静脈系がもともとつながっている部位(門脈大循環シャント)へ流れ込み、そこが拡張して側副血行路となる。食道下部では左胃静脈から食道静脈叢を経て奇静脈へ抜ける経路が使われるため食道静脈瘤ができ、臍周囲では臍傍静脈が発達してメデューサの頭、直腸では痔核が生じる。食道静脈瘤は粘膜直下にあって壁が薄いため破裂しやすく、破裂すると大量吐血・下血を来す致死的な合併症となる。肝硬変ではこのほか腹水、黄疸、クモ状血管腫、手掌紅斑、女性化乳房、羽ばたき振戦などの肝性脳症徴候もみられる。吐血や急激な腹部膨満を認めたら緊急の医療機関受診が必要である。

✓ 2. 正しい
肝硬変
肝の線維化・再生結節により肝内血管抵抗が上昇して門脈圧亢進を来し、左胃静脈から食道静脈叢を経て奇静脈へ向かう側副血行路が発達する。この拡張した静脈が食道静脈瘤で、破裂すると大量出血を起こす。
✗ 1. 誤り
膵炎
急性膵炎は上腹部から背部へ放散する激しい疼痛、血中アミラーゼ・リパーゼ上昇が特徴で、門脈圧亢進は主病態ではない。膵の炎症が脾静脈に及べば限局性の胃静脈瘤を生じうるが、食道静脈瘤の代表的原因ではない。
✗ 3. 誤り
胆石症
胆嚢や胆管の結石により右季肋部の疝痛発作、黄疸、発熱などを来すが、門脈系の血流障害は生じないため食道静脈瘤の原因とはならない。
✗ 4. 誤り
逆流性食道炎
胃酸の逆流により食道下部粘膜がびらん・潰瘍を起こす疾患で、胸やけや呑酸を訴える。静脈の還流障害によるものではないので静脈瘤は形成されない。
ポイント
  • 食道静脈瘤の原因は門脈圧亢進で、その最多の原因が肝硬変である。
  • 側副血行路の代表:食道静脈瘤、メデューサの頭(臍周囲)、痔核(直腸)。
  • 食道静脈瘤の破裂は大量吐血・下血を来す致死的合併症で、緊急対応が必要。
  • 肝硬変のその他の所見:腹水、黄疸、クモ状血管腫、手掌紅斑、女性化乳房、羽ばたき振戦。
  • 吐血・黒色便・急な腹部膨満を認めたら施術は行わず、ただちに医療機関へつなぐ。
比較表
門脈圧亢進の徴候できる部位血液の逃げ道
食道静脈瘤食道下部粘膜下左胃静脈→食道静脈叢→奇静脈
メデューサの頭臍周囲の腹壁臍傍静脈→腹壁皮静脈
痔核直腸下部・肛門上直腸静脈→中・下直腸静脈
脾腫・腹水脾臓・腹腔うっ血と膠質浸透圧低下による
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