学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §12 主要な疾患 消化器疾患 / QJ25P036

理由で解く 柔道整復師

QJ25P036 一般臨床医学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問36
問題
潰瘍性大腸炎の症状で多いのはどれか。
選択肢
1 嘔吐
2 吐血
3 便秘
4 粘血便
解答
正解4(粘血便)
解説

潰瘍性大腸炎は直腸から連続して口側へ広がる大腸粘膜のびまん性炎症で、最も多く特徴的な症状は粘血便である。

病変は直腸を必ず含み、そこから連続性に大腸へ広がる。炎症は粘膜から粘膜下層にとどまり、びらんや潰瘍を作る。ここからの出血が炎症による滲出液や粘液と混ざって排出されるため、粘液の混じった血便(粘血便)となる。なお組織学的には、活動期に陰窩膿瘍(crypt abscess)と杯細胞の減少(ムチン枯渇)がみられるのが特徴で、粘液の産生そのものはむしろ低下している。これに下痢、排便回数の増加、しぶり腹(テネスムス)、左下腹部痛が加わり、重症では発熱・貧血・体重減少などの全身症状を伴う。寛解と再燃を繰り返す慢性疾患であり、施術の現場で血便や続く下痢を訴える人に出会ったら、症状の経過を確認したうえで医療機関の受診を勧めるのが適切な対応である。

✓ 4. 正しい
粘血便
大腸粘膜のびらん・潰瘍からの出血に、炎症性の滲出液・粘液が加わって排出されることで生じる。組織像では活動期に杯細胞が減少(ムチン枯渇)し陰窩膿瘍を認めるので、「炎症で杯細胞の粘液分泌が増えるから粘血便になる」と覚えないよう注意したい。軽症では便の表面に血液が付着する程度だが、活動期には血液そのものに近い便が1日に何回も出る。潰瘍性大腸炎を最も強く疑わせる代表的症状であり、下痢・しぶり腹とセットで覚えるとよい。
✗ 1. 誤り
嘔吐
嘔吐は上部消化管の通過障害や刺激、中枢神経の病態などで起こる症状である。潰瘍性大腸炎の主病変は大腸なので、通常は前面に出ない。中毒性巨大結腸症のような重篤な合併症では出現しうるが、日常的に「多い症状」とは言えない。
✗ 2. 誤り
吐血
吐血はトライツ靱帯より口側、すなわち上部消化管からの出血を示すサインで、食道静脈瘤破裂や胃・十二指腸潰瘍などで見られる。大腸からの出血は肛門側へ排出されるため、血便・下血という形をとる。出血が口から出たのか肛門から出たのかで出血部位を大きく絞り込めることを押さえておきたい。
✗ 3. 誤り
便秘
炎症で大腸の水分吸収が妨げられ、直腸が刺激されて便意が頻回になるため、典型的には下痢と排便回数の増加を示す。病変が直腸に限局する型では口側の便の通過が保たれ便秘傾向を示すこともあるが、疾患全体として多いのは下痢と粘血便である。
ポイント
  • 潰瘍性大腸炎は直腸から連続性に広がり、大腸に限局する。炎症は粘膜〜粘膜下層にとどまる。
  • 主症状は粘血便・下痢・しぶり腹(テネスムス)・腹痛。重症では発熱・貧血・体重減少。
  • 粘血便の粘液は炎症性の滲出液・粘液が主体。組織像は陰窩膿瘍と杯細胞減少(ムチン枯渇)で、クローン病の非乾酪性肉芽腫と対比して覚える。
  • 吐血は上部消化管出血、血便・下血は下部消化管出血のサイン。出方で部位を絞る。
  • 寛解と再燃を繰り返し、長期・広範囲の罹患では大腸癌のリスクが上がるため定期的な内視鏡検査が行われる。
  • 血便や長引く下痢を訴える人には、経過を聴取したうえで医療機関の受診を勧める。
比較表
項目潰瘍性大腸炎クローン病
好発部位大腸のみ。直腸から連続性に口側へ口腔から肛門までの全消化管。回盲部に多い
病変の分布連続性・びまん性非連続性(skip lesion)
炎症の深さ粘膜〜粘膜下層全層性
特徴的所見粘血便、血管透見像の消失、偽ポリープ。組織像は陰窩膿瘍・杯細胞減少縦走潰瘍、敷石像。組織像は非乾酪性肉芽腫
主症状粘血便・下痢・しぶり腹腹痛・下痢・発熱・体重減少(血便は相対的に少ない)
合併しやすい病態中毒性巨大結腸症、長期例で大腸癌瘻孔、狭窄、肛門部病変(痔瘻)
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