学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §4 診察各論 打診 / QJ25P027

理由で解く 柔道整復師

QJ25P027 一般臨床医学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問27
問題
腹部の打診で腸管に空気が充満しているときに聴取されるのはどれか。
選択肢
1 清音
2 濁音
3 鼓音
4 グル音
解答
正解3(鼓音)
解説

打診音は下にある組織が空気を含むかどうかで決まり、腸管にガスが充満していれば太鼓を叩いたような鼓音となる。正答は3。

打診は体表を叩いて生じる振動が、下の組織の含気量によって違う音になることを利用する。一般則として、含気が多いほど振動が伝わりやすく音は大きく長く響き、逆に液体や充実性の組織が多いほど振動が減衰して小さく短い鈍い音になる。ただし音の高さ(音調)は含気量だけで決まるのではなく、空気がどのような形で存在するかによって変わるため、音の大きさ・長さとは分けて覚える必要がある。正常な肺のように微細な含気が組織全体に広がる部位では、大きく低く長い共鳴音である清音となる。これに対し腸管ガスや胃泡のように空気が一つの塊として管腔臓器内に存在する部位では、太鼓を叩いたようによく響く高調で音楽的な鼓音となる。肝臓・脾臓などの実質臓器や腹水・充実性腫瘤の上では、空気を含まないため小さく短い鈍い濁音となる。腹部では正常でもガスのある部位は鼓音を呈するが、腸閉塞などでガスが著明に貯留すれば腹部全体が高調な鼓音となり、腹水では体位を変えると濁音の境界が移動する(移動性濁音)。なお、グル音(腸雑音)は腸管の蠕動によって生じる音であり、打診ではなく聴診で評価する点も区別しておきたい。

✓ 3. 正しい
鼓音
ガスで満たされた管腔臓器の上を打診すると、太鼓を叩いたようによく響く高調で音楽的な音(鼓音)となる。腸管ガスの充満や腸閉塞、胃泡部(トラウベ三角)で聴かれる。
✗ 1. 誤り
清音
適度に空気を含む正常な肺野の打診音で、大きく低く長い共鳴音である。腹部のガス貯留部位で聴かれるのは、これとは音色の異なる太鼓様の高調な鼓音である。
✗ 2. 誤り
濁音
肝臓・脾臓などの実質臓器、腹水、充実性腫瘤のように空気を含まない部分で聴かれる短く鈍い音であり、ガスが充満した状態とは正反対の所見である。
✗ 4. 誤り
グル音
腸管の蠕動運動で内容物とガスが移動する際に生じる腸雑音で、聴診器を用いて評価するものである。打診によって得られる音ではないため、設問の条件に合致しない。
ポイント
  • 打診音の大きさ・長さは含気量で決まる。含気が多いほど大きく長く響き、少ないほど小さく短い。音調(高さ)は別軸で、空気の存在の仕方によって変わる。
  • 鼓音=ガスの充満した管腔(腸管ガス、胃泡、腸閉塞)。太鼓を叩いたようによく響く高調で音楽的な音。
  • 清音=正常肺野の大きく低く長い共鳴音。濁音=実質臓器・腹水・充実性腫瘤の小さく短い鈍い音。
  • グル音(腸雑音)は聴診で評価する所見であり、打診音ではない。
  • 腹水では体位変換で濁音域が移動する(移動性濁音)ことが鑑別の手がかりになる。
比較表
性質認められる部位・病態診察法
清音大きく低く長い共鳴音正常肺野打診
鼓音太鼓様のよく響く高調で音楽的な音腸管ガス、胃泡、腸閉塞、気胸(患側胸部)打診
濁音小さく短い鈍い音肝・脾、腹水、充実性腫瘤、胸水打診
グル音(腸雑音)腸蠕動に伴う音正常でも聴取、亢進=腸炎・初期の腸閉塞、消失=麻痺性イレウス聴診
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