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理由で解く 柔道整復師

QJ25P026 一般臨床医学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問26
問題
腹部に赤色の皮膚線条を認めるのはどれか。
選択肢
1 妊娠
2 肝硬変
3 下大静脈血栓症
4 クッシング(Cushing)症候群
解答
正解4(クッシング(Cushing)症候群)
解説

クッシング症候群では過剰なコルチゾールが皮膚の膠原線維を分解し、腹部や大腿に幅広い赤紫色の皮膚線条を生じる。正答は4。

コルチゾールは蛋白異化を促進するため、慢性的な過剰状態では真皮のコラーゲンが減って皮膚が菲薄化する。そこへ中心性肥満による伸展力が加わると真皮が断裂し、薄くなった皮膚を通して下の血管が透けるため、線条は白ではなく赤紫色に見える。幅が1cm以上と広いこと、腹部・側腹部・大腿・腋窩など体幹に多いことが特徴で、満月様顔貌、水牛様脂肪沈着、易感染性、高血圧、高血糖、皮下出血しやすさなどを併せもつ。腹壁の所見はこのほかにも情報が多く、臍を中心に放射状の静脈怒張(メデューサの頭)なら門脈圧亢進、側腹壁の上行性静脈怒張なら下大静脈閉塞と、血流の逃げ道から原因臓器を推測できる。線条を見つけたら幅と色調、分布を観察し、内分泌疾患が疑われる場合は医療機関への受診を勧める。

✓ 4. 正しい
クッシング(Cushing)症候群
コルチゾール過剰による蛋白異化で真皮の膠原線維が減少し皮膚が薄くなるため、断裂した部位から真皮の血管が透見され、腹部などに幅の広い赤紫色の線条が生じる。中心性肥満・満月様顔貌などを伴う。
✗ 1. 誤り
妊娠
子宮増大による腹壁の伸展で妊娠線が生じるが、時間の経過とともに白色〜銀白色の萎縮性瘢痕として残るのが典型で、クッシング症候群のような幅広く鮮やかな赤紫色の線条とは色調・幅が異なる。
✗ 2. 誤り
肝硬変
門脈圧亢進により臍周囲の側副血行路が発達し、臍を中心に放射状に広がる腹壁静脈怒張(メデューサの頭)がみられる。腹水、クモ状血管腫、手掌紅斑、黄疸などが特徴で、赤色皮膚線条は主徴ではない。
✗ 3. 誤り
下大静脈血栓症
下大静脈の閉塞により側腹壁の皮静脈が側副路となり、下から上へ向かう血流を伴う静脈怒張がみられる。下肢の浮腫やうっ血を伴い、所見の主体は静脈拡張であって皮膚線条ではない。
ポイント
  • 赤紫色で幅の広い(1cm以上)皮膚線条=クッシング症候群。原因はコルチゾール過剰による皮膚の菲薄化。
  • クッシング症候群は中心性肥満・満月様顔貌・水牛様脂肪沈着・高血圧・高血糖を伴う。
  • 妊娠線は最終的に白色〜銀白色の萎縮性瘢痕となる。
  • 臍から放射状の静脈怒張(メデューサの頭)=門脈圧亢進(肝硬変)。
  • 側腹壁で下から上へ流れる静脈怒張=下大静脈の閉塞。
比較表
疾患腹壁の主な所見機序
クッシング症候群幅広い赤紫色の皮膚線条コルチゾール過剰→膠原線維減少・皮膚菲薄化
妊娠妊娠線(のちに白色線条)腹壁の急速な伸展
肝硬変メデューサの頭、腹水門脈圧亢進による臍傍静脈の側副血行
下大静脈血栓症側腹壁の静脈怒張(上行性血流)、下肢浮腫下大静脈閉塞による側副血行
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