学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §6 診察各論 触診 / QJ25P025

理由で解く 柔道整復師

QJ25P025 一般臨床医学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問25
問題
頸部正中付近に硬い腫瘤を触れるのはどれか。
選択肢
1 甲状腺癌
2 バセドウ (Basedow)病
3 慢性甲状腺炎
4 悪性リンパ腫
解答
正解1(甲状腺癌)
解説

甲状腺は頸部正中の気管前面にあり、そこに硬く可動性の乏しい限局した腫瘤を触れるのは甲状腺癌である。正答は1。

頸部の腫瘤は「どこにあるか」と「どんな手触りか」の2軸で絞る。正中〜正中付近で嚥下とともに上下する腫瘤は甲状腺由来を疑い、側頸部や鎖骨上に触れるものはリンパ節由来を考える。手触りは、悪性ほど硬く表面不整で周囲に癒着して可動性が乏しく、良性・炎症性は弾性軟〜弾性硬で可動性が保たれやすい。甲状腺疾患の中でも、バセドウ病や慢性甲状腺炎は腺全体が腫れるびまん性腫大であり、限局した硬い結節として触れるのは腫瘍性病変である。石様に硬い結節、可動性不良、嗄声などが揃えば悪性の可能性が高まるため、触診で異常を認めたら断定せず、超音波や穿刺吸引細胞診が行える医療機関への受診を速やかに勧めることが大切である。

✓ 1. 正しい
甲状腺癌
甲状腺は頸部正中の気管前面に位置するため、腫瘍は正中付近の腫瘤として触れる。癌は石様に硬く、表面不整で周囲組織に浸潤・癒着するため可動性に乏しく、嚥下時の移動も制限されやすい。
✗ 2. 誤り
バセドウ (Basedow)病
部位は同じ甲状腺だが、触れるのは腺全体のびまん性で弾性軟〜やや硬めの腫大であり、限局した硬い腫瘤ではない。頻脈・体重減少・眼球突出などの甲状腺機能亢進症状を伴う。
✗ 3. 誤り
慢性甲状腺炎
橋本病では自己免疫性の炎症により腺全体がびまん性に腫大し、表面がやや凹凸のある弾性硬として触れることはあるが、限局した硬結ではない。経過とともに甲状腺機能低下を示すことがある。
✗ 4. 誤り
悪性リンパ腫
リンパ節が主座であるため、側頸部・鎖骨上・腋窩などに無痛性で弾性硬(ゴム様)のリンパ節腫脹として現れることが多く、頸部正中の腫瘤という部位の特徴に合わない。
ポイント
  • 頸部正中+嚥下で上下する腫瘤=甲状腺由来。側頸部・鎖骨上=リンパ節由来と部位で振り分ける。
  • 硬く・表面不整・可動性不良=悪性を示唆。弾性軟〜弾性硬で可動性良好=良性・炎症性を示唆。
  • バセドウ病・慢性甲状腺炎はびまん性腫大で、限局した硬い結節ではない。
  • 悪性リンパ腫のリンパ節腫脹は無痛性・弾性硬(ゴム様)が典型。
  • 硬い頸部腫瘤を触れたら自己判断せず、超音波・細胞診が可能な医療機関への受診を勧める。
比較表
疾患部位触診所見
甲状腺癌頸部正中(甲状腺)限局性、硬い、表面不整、可動性不良
バセドウ病頸部正中(甲状腺)びまん性腫大、弾性軟、圧痛なし
慢性甲状腺炎頸部正中(甲状腺)びまん性腫大、弾性硬・表面やや凹凸
悪性リンパ腫側頸部・鎖骨上など無痛性、弾性硬(ゴム様)のリンパ節腫脹
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