学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / リハビリテーション医学 ▸ §5 リハビリテーションの治療 / QJ25P019
理由で解く 柔道整復師
発症から 6 か月が経過し、利き手側に重度の麻痺が残っている状況である。機能回復を待つより、非麻痺側の左手で食べられるようにする(利き手交換)ほうが、確実に早く食事が自立する。
脳卒中の運動麻痺は発症後おおむね 3〜6 か月で回復が緩やかになり、この時期に重度麻痺が残った上肢が実用手になることは多くない。一方、食事は 1 日 3 回、毎日必要になる生活行為であり、回復を待っている間に低栄養や意欲の低下、介護負担の増大を招いてしまう。そこで生活期のリハビリテーションでは、麻痺側の管理(良肢位の保持、拘縮・肩の疼痛・浮腫の予防、随意性を伸ばす取り組み)を続けながら、ADL そのものは非麻痺側の左手を主体に組み立て直す。ここで整理しておきたいのが上肢の 3 分類である。麻痺側を主に使えるものが実用手、皿や器を押さえるなど非麻痺側の動作を助ける役割を担えるものが補助手、実用的な参加が難しいものが廃用手にあたる。本症例の重度麻痺は廃用手のレベルであり、皿を押さえる役割すら任せられない。したがって皿の固定は滑り止めマットや縁付き皿といった環境調整で代替し、左手での箸やスプーンの操作を練習する。左手で扱いやすい太柄のスプーンなど、非麻痺側用の道具を組み合わせると成功しやすい。「今の能力でどう自分で食べるか」を先に作り、その上で麻痺側の機能訓練を並走させるのが基本方針である。
| 麻痺側上肢の状態 | 上肢の位置づけ | 食事動作の組み立て |
|---|---|---|
| 軽度(実用手) | 麻痺側を主に使える手 | 麻痺側でそのまま食べる。必要に応じて動作を練習 |
| 中等度(補助手) | 皿や器を押さえるなど、非麻痺側の動作を助ける役割を担える手 | 非麻痺側を主体にし、麻痺側で皿を押さえる。必要に応じて太柄スプーン・万能カフなどの自助具を併用 |
| 重度(廃用手) | 実用的な参加は困難 | 非麻痺側での利き手交換。皿の固定は滑り止めマットや縁付き皿で代替し、麻痺側は良肢位保持と拘縮・肩の疼痛・浮腫の予防を継続 |
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