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理由で解く 柔道整復師

QJ25A115 衛生学・公衆衛生学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問115
問題
わが国の疾病で正しいのはどれか。
選択肢
1 心疾患が死因の第一位である。
2 胃癌による死亡率が増加している。
3 糖尿病と虚血性心疾患の発症は関連がない。
4 高血圧は脳血管疾患の主要なリスクである。
解答
正解4(高血圧は脳血管疾患の主要なリスクである。)
解説

高血圧は脳出血・脳梗塞いずれにとっても最大の危険因子であり、4が正しい。

血圧が高い状態が続くと、脳の細い動脈に持続的な圧負荷がかかって血管壁がもろくなり破綻すれば脳出血に、動脈硬化が進んで内腔が狭くなり閉塞すれば脳梗塞につながる。血圧値が高いほど脳卒中の発症率が連続的に上昇することは多くの追跡研究で示されており、降圧治療によって発症が減ることも確かめられている。一方、出題当時のわが国の死因順位は1位が悪性新生物、2位が心疾患、3位が肺炎、4位が脳血管疾患で、心疾患は1位ではない。胃がんの死亡率は、食生活の変化や冷蔵保存の普及、ヘリコバクター・ピロリ感染率の低下、内視鏡検診の普及などを背景に長期にわたって低下してきた。また糖尿病は高血糖による血管内皮障害を介して動脈硬化を促進し、虚血性心疾患の重要な危険因子となる(しかも神経障害のため胸痛を自覚しにくい無痛性心筋虚血を起こしやすい)ため、「関連がない」とはいえない。

✓ 4. 正しい
高血圧は脳血管疾患の主要なリスクである。
高血圧は脳出血・脳梗塞の双方に共通する最大の危険因子である。減塩、適正体重の維持、節酒、運動、必要に応じた降圧薬の継続によって血圧を下げることが、脳卒中予防の中心となる。かつて日本人に脳出血が非常に多かったのは、高塩分食と高血圧の管理不足が背景にあったと説明される。
✗ 1. 誤り
心疾患が死因の第一位である。
出題当時の死因第1位は悪性新生物であり、心疾患は第2位である。悪性新生物は1981年以降ずっと第1位を保っている。順位問題は「がん→心疾患→肺炎→脳血管疾患」の並びを基本形として覚え、年次による3位以下の入れ替わりに注意する。
✗ 2. 誤り
胃癌による死亡率が増加している。
胃がんの死亡率は長期的に低下している。塩蔵食品の減少と冷蔵保存の普及、ピロリ菌感染率の世代交代による低下、内視鏡による早期発見の普及が主な理由である。近年、死亡数が増えている部位としては肺・大腸・膵臓などが挙げられ、胃はその逆の動きをしている。
✗ 3. 誤り
糖尿病と虚血性心疾患の発症は関連がない。
糖尿病は虚血性心疾患の明確な危険因子である。高血糖が血管内皮を傷害して動脈硬化を促進し、脂質異常症や高血圧を合併しやすいことも重なってリスクが高まる。さらに糖尿病性神経障害があると胸痛を感じにくく、発見が遅れることがあるため、血糖・血圧・脂質をあわせて管理する。
ポイント
  • 出題当時の死因順位=1位 悪性新生物/2位 心疾患/3位 肺炎/4位 脳血管疾患。悪性新生物は1981年以降ずっと1位。
  • 高血圧は脳出血・脳梗塞に共通する最大の危険因子。減塩・節酒・運動・降圧薬で下げることが予防になる。
  • 胃がん死亡率は長期減少(食生活の変化、ピロリ菌感染率低下、内視鏡検診の普及)。
  • 糖尿病は動脈硬化を介して虚血性心疾患の危険因子。無痛性心筋虚血にも注意する。
  • 生活習慣病は「高血圧・脂質異常症・糖尿病・喫煙」が重なるほどリスクが跳ね上がる。
比較表
危険因子主に結びつく疾患対策の中心
高血圧脳出血・脳梗塞、心不全、腎障害減塩、適正体重、節酒、運動、降圧薬
糖尿病虚血性心疾患、脳梗塞、腎症・網膜症・神経障害血糖・血圧・脂質の同時管理
脂質異常症虚血性心疾患、脳梗塞食事・運動、必要に応じ薬物療法
喫煙肺がん、虚血性心疾患、COPD禁煙支援、受動喫煙防止
塩分過多高血圧、胃がん減塩
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