学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §9 腫瘍 / QJ25A106

理由で解く 柔道整復師

QJ25A106 病理学概論

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問106
問題
良性腫瘍の特徴はどれか。
選択肢
1 膨張性増殖
2 組織破壊
3 悪液質
4 壊死傾向
解答
正解1(膨張性増殖)
解説

良性腫瘍は周囲の組織を押しのけるように大きくなる膨張性(圧排性)増殖を示します。組織破壊・悪液質・壊死傾向はいずれも悪性腫瘍の特徴です。

良性腫瘍は分化度が高くて母組織に似ており、細胞異型・構造異型が乏しく、増殖が遅く、転移しません。押しのけるように増えるため周囲に線維性の被膜ができやすく、境界は明瞭で可動性があります。悪性腫瘍は浸潤性発育で境界が不明瞭となり、周囲組織へ入り込んで破壊し、リンパ行性・血行性・播種性に転移します。増殖速度に血管新生が追いつかないため中心部が壊死・出血しやすく、全身では食欲不振・体重減少・貧血・全身衰弱からなる悪液質をきたします。ただし良性でも発生部位によっては危険で、頭蓋内の髄膜腫のように圧迫症状で重い障害を招くことがあり、「良性だから安心」と単純化しないことが大切です。

✓ 1. 正しい
膨張性増殖
周囲組織を押し広げながら増える発育様式で、被膜形成を伴いやすく、境界明瞭で可動性のある腫瘤として触れます。良性腫瘍を特徴づける増殖形式です。
✗ 2. 誤り
組織破壊
周囲へしみ込むように広がって組織を壊すのは悪性腫瘍の浸潤性発育です。良性腫瘍は押しのけるだけで、周囲の構造を破壊しません。
✗ 3. 誤り
悪液質
悪液質は著しい体重減少・食欲不振・貧血・全身衰弱を示す状態で、悪性腫瘍の進行例にみられます。良性腫瘍で全身状態がここまで損なわれることは通常ありません。
✗ 4. 誤り
壊死傾向
急速に増殖する悪性腫瘍では血管新生が追いつかず、中心部が壊死・出血しやすくなります。増殖が緩やかな良性腫瘍では血流が保たれ、壊死は目立ちません。
ポイント
  • 良性=膨張性(圧排性)増殖・被膜形成・境界明瞭・可動性あり・分化度が高い・転移しない
  • 悪性=浸潤性増殖・境界不明瞭・周囲に固着・異型が強い・転移する
  • 悪性は増殖が速く血管新生が追いつかないため、壊死と出血を起こしやすい
  • 悪液質(体重減少・食欲不振・貧血・全身衰弱)は悪性腫瘍の全身影響
  • 良性でも髄膜腫のように部位によっては圧迫症状が重篤化する。腫瘤を触れたら安易に判断せず医師の診察につなげる
比較表
良性腫瘍悪性腫瘍
発育様式膨張性(圧排性)浸潤性
境界・被膜明瞭、被膜あり、可動性あり不明瞭、被膜なし、周囲に固着
増殖速度遅い速い
異型性・分化度異型に乏しく高分化異型が強く低分化のことが多い
壊死・出血乏しい起こしやすい
転移しないする
全身影響少ない(部位により圧迫症状)悪液質をきたす
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