学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 病理学概論 ▸ §9 腫瘍 / QJ26A105
理由で解く 柔道整復師
腫瘍マーカーは「どの細胞が作る物質か」を押さえると、対応する腫瘍が自然に決まります。α-フェトプロテイン(AFP)は肝細胞と卵黄嚢が作る胎児性蛋白で、前立腺癌のマーカーではありません(前立腺癌はPSA)。したがって組合せが誤っているのは 2 です。
腫瘍マーカーは物質の性格から①胎児性抗原(AFP・CEA)/②糖鎖抗原(CA19-9・CA125)/③ホルモン(hCG・カルシトニン)/④酵素・臓器特異蛋白(PSA)の4つに分けると整理できます。①は胎児期にだけ盛んに作られる蛋白が、癌化した細胞で再び作られるようになったもの。②〜④は、その組織が元来作っている糖鎖抗原・ホルモン・臓器特異的な酵素が、腫瘍の増大や組織構造の破綻に伴って血中に多く出てくるものです。AFPは胎生期の肝細胞と卵黄嚢が産生するため、成人では肝細胞癌と卵黄嚢腫瘍(胚細胞腫瘍)で上昇します。一方、前立腺の腺上皮が精液を液化させるために分泌するセリンプロテアーゼ(カリクレイン3)がPSA(前立腺特異抗原)で、これは④の酵素・臓器特異蛋白にあたり、癌で腺構造が壊れて血中に漏れ出るため上昇します。つまり2は「肝臓・生殖細胞のマーカー」と「前立腺の腫瘍」を取り違えた組合せです。なお腫瘍マーカーは臓器特異性も感度も完全ではなく、肝炎・肝硬変、前立腺肥大症、膵炎・胆管炎、喫煙などの非腫瘍性病態でも上昇しうるため、確定診断は画像診断と病理組織診断で行い、マーカーは補助診断・治療効果判定・再発モニタリングに用いる、という位置づけで覚えてください。
| 腫瘍マーカー | 分類 | 産生する細胞・組織 | 代表的な悪性腫瘍 | 押さえどころ |
|---|---|---|---|---|
| AFP(α-フェトプロテイン) | 胎児性抗原 | 胎生期の肝細胞・卵黄嚢 | 肝細胞癌、卵黄嚢腫瘍(胚細胞腫瘍) | 肝炎・肝硬変、妊娠でも上昇 |
| CEA(癌胎児性抗原) | 胎児性抗原 | 胎児期の消化管上皮 | 大腸癌など消化器・肺の腺癌 | 術後再発モニタリングの定番。喫煙でも軽度上昇 |
| CA19-9 | 糖鎖抗原 | 膵管・胆管などの上皮 | 膵癌、胆道癌 | Lewis式血液型陰性では偽陰性。膵炎・胆管炎でも上昇 |
| CA125 | 糖鎖抗原 | 体腔上皮由来の組織 | 卵巣癌 | 子宮内膜症・月経・妊娠でも上昇 |
| hCG | ホルモン | 胎盤の合胞体栄養膜細胞 | 絨毛癌、侵入奇胎、精巣・卵巣の胚細胞腫瘍 | 胞状奇胎(良性の栄養膜性疾患)や正常妊娠でも高値。治療効果判定にそのまま使える |
| PSA(前立腺特異抗原) | 酵素・臓器特異蛋白 | 前立腺の腺上皮 | 前立腺癌 | 本体はセリンプロテアーゼ。前立腺肥大症・前立腺炎でも上昇 |
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