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理由で解く 柔道整復師

QJ25A105 病理学概論

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問105
問題
癌細胞増殖がホルモンに依存することが多いのはどれか。2つ選べ。
選択肢
1 乳癌
2 大腸癌
3 肺癌
4 前立腺癌
解答
正解1(乳癌)、4(前立腺癌)
解説

乳癌はエストロゲン、前立腺癌はアンドロゲンに増殖を依存することが多く、いずれもホルモン療法(内分泌療法)が治療の柱になります。

ホルモン依存性腫瘍とは、特定のホルモン刺激を受けて増殖が促される腫瘍を指します。乳癌ではエストロゲン受容体(ER)やプロゲステロン受容体(PgR)が陽性の症例が多く、抗エストロゲン薬やアロマターゼ阻害薬でホルモン刺激を断つ治療が有効です。前立腺癌はアンドロゲン受容体を介して増殖するため、精巣摘除やLH-RHアゴニスト、抗アンドロゲン薬で腫瘍が縮小します。ほかに子宮体癌もエストロゲン依存性として知られます。一方、大腸癌は食生活や遺伝性素因、肺癌は喫煙が主要な背景で、ホルモン依存性ではありません。なお乳癌・前立腺癌はどちらも骨転移をきたしやすい癌でもあるため、これらの既往をもつ人の頑固な腰背部痛や、軽微な外力で生じた痛みでは、病的骨折や骨転移の可能性を念頭に置き、医師の診察につなげます。

✓ 1. 正しい
乳癌
乳腺の上皮はもともとエストロゲンの標的組織であり、乳癌でもER陽性例が多くを占めます。ホルモン受容体の有無を調べて内分泌療法を選ぶのが標準的な流れです。
✓ 4. 正しい
前立腺癌
前立腺はアンドロゲンによって発育・維持される臓器で、前立腺癌もアンドロゲン依存性に増殖します。アンドロゲンを遮断する治療で腫瘍が退縮することが、依存性を示す何よりの根拠です。
✗ 2. 誤り
大腸癌
大腸癌は腺腫からの多段階発癌や家族性大腸腺腫症などの遺伝性素因、食生活が主な背景で、ホルモン刺激に依存して増殖する腫瘍ではありません。
✗ 3. 誤り
肺癌
肺癌の最大の危険因子は喫煙で、ほかにアスベストなどの職業曝露が関与します。ホルモン依存性腫瘍には含まれません。
ポイント
  • ホルモン依存性腫瘍の代表:乳癌(エストロゲン)・前立腺癌(アンドロゲン)・子宮体癌(エストロゲン)
  • 治療はホルモン刺激を断つ内分泌療法(抗エストロゲン薬、アロマターゼ阻害薬、抗アンドロゲン薬、LH-RHアゴニスト)
  • 大腸癌・肺癌はホルモン非依存性。背景は食生活・遺伝性素因・喫煙
  • 乳癌・前立腺癌はいずれも骨転移が多い。既往のある人の腰背部痛では病的骨折も念頭に置く
  • 「2つ選べ」の設問。標的臓器がもともとホルモンで発育する組織かどうかで判断すると迷わない
比較表
腫瘍ホルモン依存性関与するホルモン主な治療の考え方
乳癌あり(ER陽性例が多い)エストロゲン抗エストロゲン薬、アロマターゼ阻害薬
前立腺癌ありアンドロゲン去勢術、LH-RHアゴニスト、抗アンドロゲン薬
子宮体癌ありエストロゲンプロゲステロン製剤
大腸癌なし手術、化学療法
肺癌なし手術、化学療法、放射線
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