学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §5 循環障害 / QJ25A100

理由で解く 柔道整復師

QJ25A100 病理学概論

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問100
問題
浮腫の成因でないのはどれか。
選択肢
1 血管透過性の亢進
2 体腔へのリンパ液の貯留
3 血漿膠質浸透圧の低下
4 リンパ管の閉塞
解答
正解2(体腔へのリンパ液の貯留)
解説

浮腫は間質(組織間隙)に組織液が過剰にたまった状態です。体腔にたまるのは胸水・腹水などの腔水症で、浮腫を生む仕組みそのものではありません。

毛細血管と間質の間の水のやりとりは、押し出す力(毛細血管静水圧)と引き戻す力(血漿膠質浸透圧)のつり合い、そして余剰分を回収するリンパ流で決まります。したがって浮腫の成因は、①毛細血管静水圧の上昇(心不全、静脈閉塞、圧迫)、②血漿膠質浸透圧の低下(ネフローゼ症候群、肝硬変、低栄養によるアルブミン減少)、③血管透過性の亢進(炎症、アレルギー、熱傷)、④リンパ管の閉塞(腫瘍、リンパ節郭清、フィラリア症)、⑤ナトリウム・水の貯留、に整理できます。「体腔へのリンパ液の貯留」は胸管の損傷や閉塞で生じる乳び胸・乳び腹水にあたり、これは仕組みではなく結果として現れた病態です。設問が問うている「成因」の列には並びません。

✓ 2. これが答え(浮腫の成因ではない)
体腔へのリンパ液の貯留
浮腫は組織間隙への貯留を指す語で、胸腔・腹腔・心嚢といった体腔にたまるものは腔水症(胸水・腹水・心嚢液)と呼び分けます。リンパ液がたまれば乳び胸・乳び腹水で、これは胸管損傷などの結果生じた状態であり、浮腫を作る機序ではありません。
✗ 1. 浮腫の成因である(=答えではない)
血管透過性の亢進
炎症ではヒスタミンやブラジキニンにより血管透過性が高まり、蛋白を含む滲出液が間質へ漏れ出します。捻挫直後の腫脹や蕁麻疹、熱傷後の浮腫がこれにあたります。
✗ 3. 浮腫の成因である(=答えではない)
血漿膠質浸透圧の低下
アルブミンが減ると血管内へ水を引き戻す力が弱まり、全身性の浮腫が生じます。ネフローゼ症候群、肝硬変、低栄養(クワシオルコル)、蛋白漏出性胃腸症が代表です。
✗ 4. 浮腫の成因である(=答えではない)
リンパ管の閉塞
余剰の組織液を回収する経路が絶たれると、蛋白に富んだ液が間質に残ってリンパ浮腫になります。乳癌術後の腋窩リンパ節郭清後や、フィラリア症による象皮病が典型です。
ポイント
  • 浮腫=間質への組織液の過剰貯留。体腔にたまるものは腔水症(胸水・腹水・心嚢液)と呼び分ける
  • 成因は4本柱:毛細血管静水圧の上昇/血漿膠質浸透圧の低下/血管透過性の亢進/リンパ管の閉塞
  • 局所性浮腫:静脈やリンパ管の閉塞、炎症。全身性浮腫:心不全、腎疾患、肝硬変、低栄養
  • 漏出液は蛋白が少なく比重が低い、滲出液は蛋白が多く比重が高い、と区別する
  • 下腿の圧痕性浮腫や片側性の腫脹に気づいたら、原因検索のため受診をすすめる
比較表
成因起こること代表疾患
毛細血管静水圧の上昇押し出す力が強まる心不全、静脈血栓症、局所の圧迫
血漿膠質浸透圧の低下引き戻す力が弱まるネフローゼ症候群、肝硬変、低栄養
血管透過性の亢進蛋白ごと漏れ出る炎症、アレルギー、熱傷
リンパ管の閉塞回収経路が絶たれるリンパ節郭清後、フィラリア症(象皮病)
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