学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §5 循環障害 / QJ25A099

理由で解く 柔道整復師

QJ25A099 病理学概論

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問99
問題
門脈圧亢進症の症状で正しいのはどれか。
選択肢
1 肺うっ血
2 ニクズク肝
3 下肢静脈瘤
4 メズサの頭
解答
正解4(メズサの頭)
解説

メズサの頭は臍のまわりの腹壁皮下静脈が放射状に怒張したもので、門脈血が大循環へ逃げる側副血行路が開いたサインです。

肝硬変などで門脈圧が上がると、門脈血は肝臓を通りにくくなり、門脈系と大循環系がつながる吻合部(側副血行路)へ迂回します。食道下部の静脈叢が開けば食道・胃静脈瘤、直腸静脈叢が開けば痔核、臍傍静脈が開けば腹壁の静脈怒張=メズサの頭になります。あわせて脾腫と汎血球減少、腹水、肝性脳症も門脈圧亢進症の柱です。とくに食道静脈瘤は破裂すると大量吐血をきたすため、肝疾患の既往がある人の吐血・黒色便は緊急受診の対象になります。「門脈系のどこが逃げ道になるか」で覚えると、肺や下肢の所見と混同しません。

✓ 4. 正しい
メズサの頭
臍傍静脈を介して門脈血が腹壁皮下静脈へ流れ込み、臍を中心に放射状の静脈怒張が現れます。ギリシャ神話のメドゥーサの頭髪になぞらえた名称で、門脈圧亢進症を示す代表的な身体所見です。
✗ 1. 誤り
肺うっ血
肺うっ血は左心不全や僧帽弁狭窄症で肺静脈圧が上がって起こります。舞台は肺循環であり、門脈系とは別系統です。
✗ 2. 誤り
ニクズク肝
ニクズク肝は右心不全などで肝静脈側にうっ血が及び、小葉中心部の暗赤色と周辺部の脂肪変性がまだら模様を作った状態です。肝から心臓へ向かう流れの障害であり、門脈から肝へ入る側の圧亢進による所見ではありません。
✗ 3. 誤り
下肢静脈瘤
下肢静脈瘤は大伏在静脈など下肢表在静脈の弁不全によるもので、立ち仕事や妊娠、加齢が背景です。下肢の静脈は門脈系に属さないため、門脈圧亢進症の側副血行路にはなりません。
ポイント
  • 門脈圧亢進症の四本柱:側副血行路・脾腫・腹水・肝性脳症
  • 側副血行路の三大部位:食道下部(食道静脈瘤)、直腸静脈叢(痔核)、臍傍静脈(メズサの頭)
  • 最多の原因は肝硬変。ほかにバッド・キアリ症候群、門脈血栓症、日本住血吸虫症
  • 食道静脈瘤破裂は大量吐血・ショックに直結する。肝疾患既往者の吐血や黒色便はただちに受診をすすめる
  • ニクズク肝は右心不全(うっ血肝)、肺うっ血は左心不全と、心不全側の所見と切り分ける
比較表
所見どこの循環の問題か代表的な原因
メズサの頭門脈系→腹壁皮下静脈の側副路肝硬変などの門脈圧亢進症
食道静脈瘤・痔核門脈系→奇静脈系/内腸骨静脈系の側副路肝硬変などの門脈圧亢進症
肺うっ血肺循環(肺静脈圧上昇)左心不全、僧帽弁狭窄症
ニクズク肝体循環うっ血(肝静脈側)右心不全、収縮性心膜炎
下肢静脈瘤下肢表在静脈(大循環)静脈弁不全、立ち仕事、妊娠
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