学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §13 筋肉の機能 / QJ25A081

理由で解く 柔道整復師

QJ25A081 生理学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問81
問題
神経筋接合部のシナプス伝達で正しいのはどれか。
選択肢
1 終板から神経伝達物質が放出される。
2 神経伝達物質はアドレナリンである。
3 神経伝達物質の結合により筋細胞膜に過分極が生じる。
4 放出された神経伝達物質は酵素により分解される。
解答
正解4(放出された神経伝達物質は酵素により分解される。)
解説

神経筋接合部の伝達物質はアセチルコリンで、放出するのは運動神経の終末側、受け取るのが筋側の終板です。働き終えたアセチルコリンは酵素で速やかに分解されるので、正解は4です。

運動神経の活動電位が終末に届くと電位依存性Ca²⁺チャネルが開き、流入したCa²⁺がシナプス小胞の開口分泌を引き起こしてアセチルコリンがシナプス間隙に放出されます。アセチルコリンは終板膜のニコチン性受容体に結合し、この受容体そのものが陽イオンチャネルなので主にNa⁺が流入して終板電位(脱分極)が生じます。終板電位が閾値に達すると筋線維膜に活動電位が発生し、興奮収縮連関を経て収縮に至ります。役目を終えたアセチルコリンはシナプス間隙のアセチルコリンエステラーゼによってコリンと酢酸に分解され、1回の信号がそこで終了します。分解で生じたコリンは神経終末に再取り込みされ、アセチルコリンの再合成に再利用されます。「放出→結合→脱分極→分解」という一方向の流れを順番で押さえると、どの肢が流れのどこを言い換えているのかが見えてきます。

✓ 4. 正しい
放出された神経伝達物質は酵素により分解される。
アセチルコリンエステラーゼがアセチルコリンをコリンと酢酸に分解します。分解が速いからこそ終板電位が短時間で終わり、次に来る信号を別の信号として区別できます。この酵素が阻害される有機リン中毒でアセチルコリンが溜まり、筋線維束攣縮(線維束性攣縮)から持続的脱分極による麻痺へ進むことを合わせて理解しておくと、分解の意義が実感できます。
✗ 1. 誤り
終板から神経伝達物質が放出される。
送り手と受け手が逆です。終板は筋線維側のシナプス後膜(受容体が並ぶ受け取り役)で、放出するのは運動神経終末というシナプス前側です。「神経が出す・筋が受ける」と位置関係で覚えると、この種の入れ替え問題に強くなります。
✗ 2. 誤り
神経伝達物質はアドレナリンである。
骨格筋の神経筋接合部で使われるのはアセチルコリンです。アドレナリンは副腎髄質から血中に出るホルモンで、交感神経節後線維が効果器に放出するのは主にノルアドレナリンです。体性運動神経=アセチルコリンと固定して覚え、カテコールアミンは自律神経・内分泌側に整理しましょう。
✗ 3. 誤り
神経伝達物質の結合により筋細胞膜に過分極が生じる。
生じるのは脱分極(終板電位)です。ニコチン性受容体はNa⁺を主に通す陽イオンチャネルなので、開くと膜電位は0mV方向へ動きます。過分極では活動電位が起こらず収縮できないので、「収縮させる伝達=脱分極」と結果から逆算して確認できます。
ポイント
  • 伝達は一方通行。運動神経終末が放出し、筋側の終板が受け取る。
  • 伝達物質はアセチルコリン、受容体はニコチン性(イオンチャネル型)。
  • 神経終末へのCa²⁺流入が開口分泌の引き金。
  • 終板電位は脱分極。閾値を超えると筋線維膜の活動電位が発生する。
  • アセチルコリンエステラーゼが分解し、コリンは再取り込みされて再利用される。
比較表
比較項目神経筋接合部(骨格筋)交感神経節後線維→効果器
伝達物質アセチルコリンノルアドレナリン(汗腺などは例外的にアセチルコリン)
受容体ニコチン性(イオンチャネル型)アドレナリン受容体(Gタンパク質共役型)
後膜の応答脱分極(終板電位)細胞内情報伝達系を介した多様な応答
失活の仕方アセチルコリンエステラーゼによる分解神経終末への再取り込みが主体
アドレナリンの立場関与しない副腎髄質から分泌される血中ホルモンとして作用
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