学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §13 筋肉の機能 / QJ25A080

理由で解く 柔道整復師

QJ25A080 生理学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問80
問題
筋収縮で正しいのはどれか。
選択肢
1 筋細胞では興奮が弛緩を誘発する。
2 筋小胞体からカリウムイオンが放出される。
3 収縮時に細いアクチンフィラメントが滑走する。
4 筋収縮により ATP が発生する。
解答
正解3(収縮時に細いアクチンフィラメントが滑走する。)
解説

筋収縮では、太いミオシンフィラメントの間へ細いアクチンフィラメントが滑り込んでサルコメアが短くなる(滑り説)。フィラメント自体の長さは変わらない。

運動神経の興奮が神経筋接合部でアセチルコリンを放出し、筋線維に活動電位が生じる。これがT管を伝わって筋小胞体からCa²⁺を放出させる(興奮収縮連関)。Ca²⁺がトロポニンCに結合するとトロポミオシンの位置がずれ、アクチン上のミオシン結合部位が露出する。ミオシン頭部が結合して首を振り(パワーストローク)、アクチンをサルコメア中央のM線側へ引き込む。ここでATPを分解してエネルギーを使い、次のATPが頭部に結合すると結合が外れて次のサイクルに入る。この過程でA帯の長さは変わらず、I帯とH帯が狭くなるのが滑り説の裏づけである。弛緩はCa²⁺ポンプがCa²⁺を筋小胞体へ回収することで起こる。

✓ 3. 正しい
収縮時に細いアクチンフィラメントが滑走する。
ミオシン頭部の首振り運動によってアクチンフィラメントがM線側へ引き込まれ、サルコメアが短縮する。フィラメントそのものは縮まない。
✗ 1. 誤り
筋細胞では興奮が弛緩を誘発する。
逆である。活動電位(興奮)が筋小胞体からのCa²⁺放出を通じて収縮を引き起こす。弛緩はCa²⁺が筋小胞体へ回収されて起こる。
✗ 2. 誤り
筋小胞体からカリウムイオンが放出される。
筋小胞体が蓄えて放出するのはカルシウムイオンである。カリウムイオンは静止膜電位の形成や再分極に関わるイオンで、筋小胞体の貯蔵イオンではない。
✗ 4. 誤り
筋収縮により ATP が発生する。
逆で、筋収縮はATPを消費する。死後硬直は、ATPが枯渇してミオシン頭部がアクチンから外れなくなるために起こる現象で、収縮にATPが要ることの裏返しである。
ポイント
  • 滑り説:フィラメントは縮まず、アクチンがミオシンの間へ滑り込んでサルコメアが短くなる。
  • 収縮時、A帯の長さは不変、I帯とH帯が短くなる。
  • 興奮収縮連関:活動電位→T管→筋小胞体からCa²⁺放出→トロポニンCに結合→収縮。
  • 弛緩はCa²⁺ポンプによるCa²⁺の筋小胞体への回収で起こる(これにもATPが要る)。
  • ATPは収縮でも弛緩でも消費される。枯渇すると死後硬直が生じる。
比較表
サルコメアの構造中身収縮時の変化
A帯(暗帯)太いフィラメント(ミオシン)を含む変わらない
I帯(明帯)細いフィラメント(アクチン)のみ短くなる
H帯ミオシンのみでアクチンが重ならない部分短くなる
Z帯からZ帯まで(サルコメア)収縮の単位短くなる
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