学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §2 運動器系 / QJ25A034

理由で解く 柔道整復師

QJ25A034 解剖学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問34
問題
図Aの矢印の部位を走行する腱が起始するのは図Bのどれか。
図
選択肢
1 a
2 b
3 c
4 d
解答
正解2
解説

図Aの矢印は上腕骨の結節間溝を指しています。ここを走行する腱は上腕二頭筋長頭腱で、その起始は肩甲骨の関節上結節=図Bのbです。正答は2。

結節間溝は、上腕骨近位部の前面で大結節と小結節の間に縦に走る溝です。この溝の中を通る腱はただ一つ、上腕二頭筋長頭腱だけで、腱は上腕骨頭の上を乗り越えて関節包の中に入り、関節唇の上縁とともに関節窩上縁の小さな高まり=関節上結節に付着します(溝の中では上腕横靱帯が腱を押さえています)。つまり「溝の中身は長頭腱、その行き先は関節上結節」と一本の線でたどれば答えが出ます。図Bは肩甲骨を外側(関節窩側)から見た図で、洋ナシ形の関節窩の上縁の高まりがb(関節上結節)、下縁の高まりがd(関節下結節)です。残るaとcは関節窩の上方に張り出す2つの突起ですが、線画では突起の形の印象はあてになりません。関節窩に対する位置と、肩甲骨体部へのつながり方で見分けてください。aは関節窩の上方から肩甲骨体部へ幅の広い板となって連なり、内側では肩甲棘となって肩甲骨の内側縁へ達する側=肩甲棘から肩峰へ続く部分です。cは関節窩上縁のすぐ近くから起こって他とつながらず、弧を描いて遊離端で終わる突起=烏口突起です。溝そのものは上腕を軽度内旋させると前方を向くので、上腕を回旋させながら肩前面で二本の稜に挟まれた縦の溝を探すと触れやすく、上腕二頭筋長頭腱炎ではこの溝に圧痛が出ます。

✓ 2. 正しい
b
図Bで関節窩の上縁にある小さな高まりが関節上結節です。上腕二頭筋長頭はここ(と隣接する関節唇上縁)から起こり、腱は関節包の中を外側へ進んで上腕骨頭を越え、結節間溝に降りて筋腹へ続きます。図Aの矢印の部位を通る腱の出発点として、位置・走行ともに矛盾しません。
✗ 1. 誤り
a
関節窩の上方から肩甲骨体部へ板状に連なり、内側へは肩甲棘として続く部分=肩峰(肩甲棘の外側端)です。ここに関係する筋は三角筋(肩峰部・肩甲棘部の起始)と僧帽筋(停止)で、いずれの腱も結節間溝には入りません。関節窩の上縁そのものにある小さな高まり(b)とは、体部へ広く連なるかどうかで区別します。
✗ 3. 誤り
c
関節窩上縁のすぐ近くから起こり、遊離端で終わる突起=烏口突起です。ここから起こるのは上腕二頭筋短頭と烏口腕筋(小胸筋はここに停止)で、短頭腱は結節間溝には入らず、内側を通って直接下行します。同じ上腕二頭筋でも長頭と短頭で起始が違う点が本問の狙いです。
✗ 4. 誤り
d
図Bで関節窩の下縁にある高まり、関節下結節です。ここから起こるのは上腕三頭筋長頭で、その腱は上腕の後面を下行して肘頭に至ります。前面の結節間溝とは反対側の走行になるため、矢印の腱の起始としては合いません。「上が二頭筋長頭、下が三頭筋長頭」と上下で対にして覚えると取り違えません。
ポイント
  • 結節間溝=大結節と小結節の間の縦の溝。中を通る腱は上腕二頭筋長頭腱ただ一つ(上腕横靱帯が押さえる)。
  • 上腕二頭筋:長頭=関節上結節、短頭=烏口突起。上腕三頭筋長頭=関節下結節。関節窩の上下で対にして覚える。
  • 結節間溝の周囲の停止:外側唇に大胸筋、溝底に広背筋、内側唇に大円筋(「外=大胸、底=広背、内=大円」)。
  • 図で肩甲骨の突起を見分けるときは、形の印象ではなく位置とつながり方で。肩峰は肩甲棘の続きで、肩甲骨体部へ板状に連なる烏口突起は関節窩上縁の近くから起こり、遊離端で終わる
  • 長頭腱は関節包の中を通る(滑膜の外)。上腕二頭筋長頭腱炎では結節間溝に圧痛が出る。溝は軽度内旋位で前方を向くので、肩前面痛では上腕を回旋させながら溝を触診する。
比較表
肩甲骨の部位図Bでの記号図Bでの見つけ方関係する筋腱が結節間溝を通るか
関節上結節b関節窩の上縁にある小さな高まり上腕二頭筋 長頭(起始)通る
烏口突起c関節窩上縁の近くから起こり遊離端で終わる突起上腕二頭筋 短頭・烏口腕筋(起始)/小胸筋(停止)通らない
肩峰(肩甲棘の外側端)a肩甲骨体部へ板状に連なり、内側は肩甲棘となる三角筋(起始)/僧帽筋(停止)通らない
関節下結節d関節窩の下縁の高まり(外側縁の上端)上腕三頭筋 長頭(起始)通らない(後面を下行)
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