学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §45 柔道整復理論 / QJ25A021

理由で解く 柔道整復師

QJ25A021 必修問題

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問21
問題
高齢者骨折で起こりやすいのはどれか。
選択肢
1 骨化性筋炎
2 過剰仮骨形成
3 フォルクマン(Volkmann)拘縮
4 廃用症候群
解答
正解4(廃用症候群)
解説

高齢者の骨折で問題になるのは、骨がつくかどうかより「動かない時間」が生む二次的な障害です。正答は4の廃用症候群。

高齢者はもともと筋量・骨量・心肺予備能が低下しているため、安静臥床や長期固定が加わると日単位で機能が落ちていきます。筋力低下から関節拘縮・骨萎縮・褥瘡・誤嚥性肺炎・深部静脈血栓症・認知機能低下へと連鎖し、とくに大腿骨近位部骨折ではこの連鎖が歩行能力と生命予後を直接左右します。一方、骨化性筋炎・過剰仮骨形成・フォルクマン拘縮は、いずれも組織の反応性や骨形成能が旺盛な小児〜若年者に多い合併症です。高齢者では逆に仮骨形成が乏しく、遷延治癒や偽関節の側にぶれます。つまりこの問題は「若い人に多い3つ」対「高齢者に多い1つ」を見分ける構図になっています。

✓ 4. 該当する
廃用症候群
安静・固定によって生じる二次的障害の総称です。予備能の少ない高齢者では短期間で筋萎縮・関節拘縮・骨萎縮・起立性低血圧・褥瘡・肺炎・深部静脈血栓症が現れ、いったん進むと元の生活水準に戻すのが難しくなります。固定していない関節は受傷初日から自動運動を行わせ、固定内の筋には等尺性収縮を指導し、離床を早めることが最大の予防策です。
✗ 1. 該当しない
骨化性筋炎
損傷した筋・血腫内に異所性の骨が形成される後遺症で、骨形成能の高い小児〜若年者、とくに肘関節周囲の外傷(上腕骨顆上骨折、肘関節脱臼)後に多くみられます。無理な他動運動や強いマッサージが誘因になるため、急性期は愛護的に扱います。高齢者に起こりやすい病態ではありません。
✗ 2. 該当しない
過剰仮骨形成
仮骨形成は年齢が若いほど旺盛で、過剰仮骨は小児に多い現象です。高齢者は骨形成能・血行ともに低下しており、仮骨が出にくい方向、すなわち遷延治癒・偽関節に傾きます。年齢の向きが逆になっています。
✗ 3. 該当しない
フォルクマン(Volkmann)拘縮
前腕の阻血性拘縮で、小児の上腕骨顆上骨折伸展型に代表される合併症です。腫脹や不適切な固定でコンパートメント内圧が上昇し、筋・神経が阻血に陥って生じます。これも小児に多い病態で、高齢者骨折で起こりやすいものとはいえません。
ポイント
  • 高齢者骨折で起こりやすいのは廃用症候群。安静・固定の期間が長いほど筋萎縮・関節拘縮・骨萎縮・褥瘡・誤嚥性肺炎・深部静脈血栓症が連鎖する。
  • 骨化性筋炎、過剰仮骨形成、フォルクマン拘縮はいずれも小児〜若年者に多い。「反応が強すぎて起こる合併症」は若年者側と覚える。
  • 高齢者の骨癒合は遅い方向にぶれる(遷延治癒・偽関節)。過剰仮骨はその真逆の現象。
  • 対策は早期離床・早期運動。固定外の関節は初日から動かし、固定内の筋には等尺性収縮を行わせる。
  • 大腿骨近位部骨折では「受傷前の歩行能力に戻す」ことが目標。臥床期間の短縮を最優先に計画を立てる。
比較表
病態起こりやすい年齢層代表的な発生場面
廃用症候群高齢者安静臥床・長期固定(大腿骨近位部骨折、脊椎圧迫骨折など)
骨化性筋炎小児〜若年者肘関節周囲の骨折・脱臼後、無理な他動運動やマッサージ
過剰仮骨形成小児骨形成能が旺盛な時期の骨折
フォルクマン拘縮小児上腕骨顆上骨折伸展型、きつい固定による循環障害
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