学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §39 病理学概論 / QJ25A009

理由で解く 柔道整復師

QJ25A009 必修問題

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問9
問題
誤っている組合せはどれか。
選択肢
1 漿液性炎-炎症性浮腫
2 線維素性炎-偽膜性炎
3 化膿性炎-蜂窩織炎
4 特異性炎-増殖性炎
解答
正解4(特異性炎-増殖性炎)
解説

この問題は「誤っている組合せ」を選ぶ形式です。選択肢1〜3はいずれも「滲出性炎の下位分類—その代表的な病態」という同じ軸でそろえた正しい組合せで、答えは4になります。選択肢4だけは、原因の側からの分類語(特異性炎)と組織反応の側からの分類語(増殖性炎)を並べており、1〜3と同じ対応関係になっていません。

炎症の分類には切り口が複数あります。まず組織反応の側からの分類として、血管から液性成分や細胞が漏れ出すことが主体の滲出性炎と、細胞の増殖と線維化が前面に出る増殖性炎があります。滲出性炎はさらに「何が漏れ出すか」で細分され、タンパクの少ない漿液が主体なら漿液性炎、フィブリン(線維素)が析出すれば線維素性炎、好中球が集まって膿になれば化膿性炎です。選択肢1〜3は、いずれもこの滲出性炎の下位分類と、その代表的な病態(炎症性浮腫・偽膜性炎・蜂窩織炎)を並べたもので、「型—その具体例」という一貫した対応になっています。
これとは別に、原因の側からの分類があります。結核・梅毒・ハンセン病・真菌症・サルコイドーシスなどのように、原因ごとに決まった形の肉芽腫(類上皮細胞や多核巨細胞の集団)を形成し、組織像から原因が推定できるものを特異性炎、そうした特徴をもたないものを非特異性炎と呼びます。選択肢4は、この原因側の分類語と組織反応側の分類語をつないだもので、選択肢1〜3のような「同じ軸の中での型—具体例」という関係にはなっていません。ここが本問の判断どころです。

✓ 4. これが誤りの組合せ(=本問の答え)
特異性炎-増殖性炎
特異性炎は「原因ごとに特有の肉芽腫を形成するか」という原因側の分類語、増殖性炎は「細胞増殖・線維化が主体か」という組織反応側の分類語で、分類の軸が異なります。選択肢1〜3が滲出性炎の下位分類とその代表的病態という同一軸の対応であるのに対し、4だけは軸をまたいだ語を並べており、同じ対応関係になっていません。
✗ 1. 正しい組合せ(答えではない)
漿液性炎-炎症性浮腫
漿液性炎はタンパクの少ない液が組織間や体腔にたまる型で、炎症性浮腫がその代表です。熱傷の水疱、初期の胸膜炎で生じる胸水なども同じ型に含まれます。
✗ 2. 正しい組合せ(答えではない)
線維素性炎-偽膜性炎
フィブリンが粘膜表面に析出し、壊死組織や白血球とともに膜のように見える状態が偽膜です。ジフテリアの咽頭病変や偽膜性大腸炎が代表で、線維素性炎の一型として扱われます。
✗ 3. 正しい組合せ(答えではない)
化膿性炎-蜂窩織炎
好中球が主体となって膿を形成するのが化膿性炎です。境界をつくらず組織のすき間にびまん性に広がるものが蜂窩織炎、限局して膿がたまるものが膿瘍です。
ポイント
  • 滲出性炎の型と代表例:漿液性炎→炎症性浮腫・水疱、線維素性炎→偽膜、化膿性炎→蜂窩織炎・膿瘍。
  • 蜂窩織炎はびまん性に広がるタイプ、膿瘍は限局して膿がたまるタイプ。
  • 組織反応による分類=滲出性炎/増殖性炎。増殖性炎は細胞増殖と線維化が主体。
  • 原因による分類=特異性炎/非特異性炎。特異性炎は結核・梅毒・ハンセン病・真菌症・サルコイドーシスなど、原因に対応した特有の肉芽腫を形成するもの。
  • 選択肢1〜3は同じ軸(滲出性炎の型—その具体例)の対応。4は軸の異なる語の組合せである点が違う。
  • 否定形の設問では、まず正しい組合せを消していくと迷いにくい。
比較表
分類の軸主に漏出・増殖するもの代表的な病態
滲出性炎の下位分類(何が漏れ出すか)漿液性炎タンパクの少ない漿液炎症性浮腫、熱傷の水疱、初期の胸水
線維素性炎フィブリン(線維素)偽膜性炎(ジフテリア咽頭、偽膜性大腸炎)、線維素性心外膜炎
化膿性炎好中球(膿)蜂窩織炎、膿瘍、蓄膿
出血性炎赤血球インフルエンザ肺炎など
組織反応による分類(滲出が主か増殖が主か)増殖性炎細胞増殖・線維化間質性肺炎、肝硬変にみられる線維化
原因による分類(特有の組織像をつくるか)特異性炎原因に対応した特有の肉芽腫結核、梅毒、ハンセン病、真菌症、サルコイドーシス
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。