学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §39 病理学概論 / QJ24A009

理由で解く 柔道整復師

QJ24A009 必修問題

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午前 問9
問題
炎症で誤っているのはどれか。
選択肢
1 急性炎症では血管透過性が亢進する。
2 慢性炎症の浸潤細胞は好中球が多い。
3 炎症性サイトカインの作用によって発熱する。
4 肉芽組織形成は組織の修復過程にみられる。
解答
正解2(慢性炎症の浸潤細胞は好中球が多い。)
解説

慢性炎症で浸潤する細胞の主体はリンパ球・形質細胞・マクロファージです。好中球が主体なのは急性炎症なので、2が誤り=正答です。

急性炎症と慢性炎症は、時間の長さだけでなく「主役の細胞」と「起きている現象」が違います。急性炎症では、ヒスタミンやブラジキニンなどのケミカルメディエーターにより細動脈が拡張して発赤・熱感が生じ、細静脈の血管透過性が亢進して血漿成分が漏れ出し腫脹が起こります。そこへ最初に駆けつけるのが好中球で、これが数時間から数日単位の反応です。慢性炎症は数週間以上続く反応で、単核球(リンパ球・形質細胞・マクロファージ)の浸潤に加え、線維芽細胞の増殖と血管新生、すなわち組織の増殖性変化が前面に出ます。結核などでは類上皮細胞と多核巨細胞が集まる肉芽腫を形成します。発熱はIL-1・TNF-α・IL-6といった炎症性サイトカインが視床下部の体温調節中枢に働き、プロスタグランジンE₂を介してセットポイントを上げることで起こります。

✗ 1. 正しい記述(答えではない)
急性炎症では血管透過性が亢進する。
ヒスタミンなどにより細静脈の内皮細胞が収縮して間隙ができ、血漿タンパクを含む滲出液が組織へ漏れ出す。これが腫脹の実体で、正しい記述。
✓ 2. これが誤り(正答)
慢性炎症の浸潤細胞は好中球が多い。
慢性炎症の浸潤細胞はリンパ球・形質細胞・マクロファージが主体で、線維化や血管新生を伴う。好中球が主体になるのは急性炎症であり、この記述が誤りなので正答となる。
✗ 3. 正しい記述(答えではない)
炎症性サイトカインの作用によって発熱する。
IL-1・TNF-α・IL-6が内因性発熱物質として視床下部に作用し、プロスタグランジンE₂を介して体温のセットポイントを上げる。正しい記述。
✗ 4. 正しい記述(答えではない)
肉芽組織形成は組織の修復過程にみられる。
肉芽組織は新生毛細血管・線維芽細胞・マクロファージからなる修復の足場で、やがて膠原線維が増えて瘢痕となる。正しい記述。
ポイント
  • 急性炎症の主役は好中球、慢性炎症の主役はリンパ球・形質細胞・マクロファージ
  • 炎症の5徴は発赤・熱感・腫脹・疼痛・機能障害。発赤と熱感は血管拡張、腫脹は血管透過性亢進による滲出。
  • 発熱はIL-1・TNF-α・IL-6 → プロスタグランジンE₂ → 視床下部のセットポイント上昇という流れ。
  • 慢性炎症では線維化・血管新生などの増殖性変化が加わる。結核・サルコイドーシスなどでは肉芽腫を形成。
  • 肉芽組織(修復の足場)と肉芽腫(特殊な慢性炎症の結節)は別物。名前が似ているので区別する。
比較表
項目急性炎症慢性炎症
経過数時間〜数日数週間以上
主な浸潤細胞好中球リンパ球・形質細胞・マクロファージ
中心となる現象血管拡張・透過性亢進・滲出組織破壊と修復、線維化・血管新生
代表的所見発赤・熱感・腫脹・疼痛肉芽組織、肉芽腫、瘢痕
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